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1.あさましいのはだあれ? ページ1

登校してすぐ。屋内だと言うのに未だ差し込む日光が眩しくて、つい、きゅうと目を細めた。
生徒玄関から入ると途端に目に入るのは、ずらりと並ぶ下駄箱。そのいちばん右にある下駄箱の、クラスが表記されている場所から名前を辿って、見つけた自分の靴箱へ靴をしまう。上履きを取り出して履き変えると、爪先のあたりがやけに狭いような。また少し足のサイズが大きくなったのかもしれない。そろそろ変え時かあ、と何度か爪先を床に当てて履き心地を整えつつ、二年生の下駄箱へ赴く。

何のために一年生の私が上級生の下駄箱に行くかというと───まあ、自己満足というか、慈善活動というか、なんというか。
私の慕う先輩……桃井さつきという人は、男子バスケ部のマネージャーをしている。中でも突出した才能を持つ上、イケメンな選手たちと仲が良く、大勢の女子の嫉妬を買っている。そこに恋愛だのの感情が無くとも、恋する乙女たちには関係ないのだろう。
最高に、くだらない話だけれども。

目的を果たすために寄ったその場所で。私の目線より少し上にある桃井先輩の靴箱を覗くと、堂々と置かれている呼び出しのメモ。大して上手くもないような、可愛いと思ってでもいるのか歪に丸まった文字で綴られる馬鹿丸出しのメモを、その場で破り捨てる。
……ちょっと、冷静じゃなかったかもしれない。失敗失敗。朝が早いから人に見られる心配は無いと思って気を緩めてしまった。

それにしても。懲りないのか学ぶ頭がないのか、と呆れさえ覚える。口からは知らず知らずの内に嘲笑が零れ、すっと表情の消える感覚。ふつりふつりと怒りは湧き出で、腹の奥底が熱さのせいで冷たく感じた。
いつも(私が破って焼却炉にくべるせいで)桃井先輩に気づかれさえしないで呼び出した昼休みの時間を浪費しているだけなのに、それでも毎日変わらず送り続ける執念を、どこか別のところに活かせはしなかったのか。死んでも救えない馬鹿らしい。
私は馬鹿が嫌いだ。もっと言うと、馬鹿が賢いものに悪影響を与えるのも大嫌い。馬鹿は馬鹿らしく同じレベルだけで集って、勝手に騒いでいればいいものを。
………救いようのない馬鹿にいちいち気分を害することに、何よりも腹が立つ。
私は私があんなの(馬鹿)に感情を左右されることが許せない。それに───


本当の意味で桃井先輩を心配してはいない(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
自分が、醜くて浅ましくて─────大嫌いだ。

2.きっとこれが、はじまり。→



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lkwisterven - 青春が始まるぞ!畜生!初々しい! (2019年7月27日 10時) (レス) id: c9c05fe7f4 (このIDを非表示/違反報告)
織叶(プロフ) - あーうーさん» お久しぶりです!続編ができましたので、まだ1話しかありませんがお知らせに来ました!もし良ければ応援よろしくお願いします! (2017年11月13日 15時) (レス) id: da72fed0d7 (このIDを非表示/違反報告)
織叶(プロフ) - あーうーさん» 全部読んでくださったんですか!?ありがとうございます...!実は霧崎編も予定しています、公開後よろしければそちらもよろしくお願いします! (2017年10月22日 16時) (レス) id: da72fed0d7 (このIDを非表示/違反報告)
あーうー - 全部みました!霧崎編みてみたいですね (2017年10月22日 15時) (レス) id: 498ada8b8c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:織叶 | 作成日時:2017年10月8日 9時

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