6月･拾壱【政宗】 ページ14
政宗視点
午後の授業も終え、部活動の練習している声や文化祭に備えて慌ただしくしている生徒、教師たちが目立ってくる。そんなわしも部活動が大会終わりの長い休みに入り、暇を持て余して1年の手伝いをしているのじゃが…
『政宗先輩、これであってますかね？？』
「あぁ。そこを1枚1枚広げ、少しくしゃくしゃにすると上手くいく」
目標700という数の紙花作りをAと2人でやっており、不器用なのかAの覚束無い作業を見て教えながら作っていた。
「一体、1年はこの数の花をどうするつもりじゃ…教室を花で埋める気か？」
『えっと、まだ内緒だけど…1年のステージパフォーマンスに使うって。あ、先輩も1年の喫茶店来てね！』
わしの呟きにいい笑顔でAが答えるが、結局よく分かりもしない使い道に益々 頭を悩ませる。
「(ステージパフォーマンスに使うと言っても、限度があるじゃろ…それこそステージが花で覆い尽くされるわ)A、そろそろ帰らなくてもいいのか？」
一年の考えは読めんと、時間を確認してみると17時近く。
施設で1番可愛がられているAの門限を心配し、声をかけるとカウンターのボタンを試しに押していたAが反応する。
『今日はお兄ちゃんが先生とお話があるから、それまで私が文化祭の準備をしてお話が終わったお兄ちゃんと一緒に帰るの！』
Aのお兄ちゃんとは大抵は吉継のこと、確かに帰路はそれ程遠くはないため少しばかり遅くなっても平気なのだろう。
わしはバス待ちで必ず、登下校は小十郎と一緒になるが…
「(わしにもこんな妹が欲しかったわ…)疲れたじゃろ、ほれ喰え」
『手作りカップケーキ！ありがとうございます！』
Aの頭を軽く撫で、元から渡すつもりであったカップケーキを渡しAの迎えが来るまでゆっくりと進めていく。そして…
「A!!すまない遅くなった！さぁ、共に義について話しながら帰ろう！」
「お前が来るのかっ！！！！」
『兼続兄ー！』
Aの迎えに来たのは直江兼続であり、わしと1番相性の悪い義や愛にうるさい男…さっきまで吉継にもカップケーキを渡してやるかと、考えていたわしが馬鹿だったわ！
「むっ、山犬も一緒だったのか。Aはやらんぞ！」
「誰が山犬じゃ！馬鹿め！本当にお前はいつもいつも…」
この言い合いは学園のバス停まで続き、結局 残りのカップケーキはAさんの物になりました。(By小十郎)
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