十二鬼月 ページ31
そこからさらにぐちゃぐちゃにされ、原型が無くなるまで続いた。この場にいる全員、呪いの残酷さに言葉を失っている。あまりにも、むごい。
やっと呪いが収まり、珠世さんが近付く。そして近くに膝をついた。
「…死んでしまったんですか?」
「間もなく死にます。これが"呪い"です。体内に残留する鬼舞辻の細胞に肉体を破壊されること。基本的に…鬼同士の戦いは不毛です。意味が無い。致命傷を与えることができませんから…陽光と鬼殺の刀以外は。ただ、鬼舞辻は鬼の細胞の破壊ができるようです」
珠世さんの説明を聞いてる最中、愈史郎さんが慌てて駆け寄ってきた。そして炭治郎の鼻と口を覆うように布を押し付ける。
「珠世様の術を吸い込むなよ。人体には害が出る。…女の鬼狩り、布で口と鼻を抑えておけ」
「りょーかいです」
懐から以前伊黒さんから貰った手拭を取り出し鼻と口に当てる。少しずつ炭治郎に絆されてる愈史郎さんも可愛い…。
「…炭治郎さん、Aさん。この方は十二鬼月ではありません」
「…!?」
「十二鬼月は眼球に数字があります。この方には無い…。もう一方も恐らく十二鬼月ではないでしょう。弱すぎる」
炭治郎がその言葉を聞いて驚いている。そりゃ、そうだよね。今回の鬼たちは下弦に届かないものの普通の異能よりは強い鬼。
戦い慣れしていなければ、手こずる相手だ。
珠世さんが肉塊に空の注射を刺し血を抜き取る。
「血は採りました。私は禰豆子さんを診ます。薬を使ったうえに術も吸わせてしまったので…ごめんなさいね」
「頭の悪い鬼もいたものだな。珠世様を傷つけたんだ。当然の報いだが。…もう後は知らんぞ布は自分で持て!!俺は珠世様から離れたくない少しも!!」
そう言って珠世さんを追いかけて行った愈史郎さん。うーん、可愛いし美人さんだし面白いし…良い人だなぁ…。
炭治郎と手拭で口と鼻を抑えながらきょとんとしていると、弱弱しい声が聞こえた。
「ま…り。ま…り…」
「…」
炭治郎と顔を見合わせて、私が毬を持つ。炭治郎片手は布もっててもう片方は私の肩に回ってるからね、仕方ないね。
朱紗丸に近付き、近くに毬を置いた。
「…毬だよ」
炭治郎がそう言うと、また小さく弱弱しい声が聞こえた。
「遊…ぼ…あそ…」
あぁ、本当に…ただ遊びたいだけの小さな子供の様だ。胸が痛くなる。なぜ、この子は鬼になってしまったのだろう。ただ、遊びたかっただけなのかもしれないのに…
1936人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エリカ - はぅー!!!!!!!時間的に間に合わないけど、杏寿郎さんといちゃラブしてほちぃ!!!!!!!!!!!!!! (2020年4月23日 17時) (レス) id: f0480ad40d (このIDを非表示/違反報告)
りん - うーん…結婚できるの姫島さんかむいむいかな〜? (2020年4月22日 22時) (レス) id: 4a20aa403e (このIDを非表示/違反報告)
愛心 - 富岡さんの富はこの冨ですよ (2020年4月18日 15時) (レス) id: b59d3295d5 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 「弦弥」じゃなくて「玄弥」ですね(番外編の求婚会議) (2020年1月4日 22時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
ネームネーム - 1の方でもそうだったんですが、冨岡さんが富岡さんになってます。(上のちょんっていうやつがあるかないか) (2019年12月20日 16時) (レス) id: a0201b5f31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:杏 | 作成日時:2019年7月15日 1時