策士な皇子様と ページ9
｢A、少しお時間よろしいですか？｣
｢あ、はい！どうされました？紅明様｣
夜も更けた皇宮の廊下は少し冷える。
本日の職務がやっと終わり、寒い寒いと腕を擦りながら皇宮内の自室に戻る途中、私は紅明様に呼び止められた。
この方は言わずと知れた煌帝国第二皇子、練紅明その人であり、私の仕える主人でもある。
紅明様に仕え始めて早く三年。最初こそひどく緊張していたが、紅明様は何かと優しい方で、いつしか私の中から緊張は消えていた。
だがこんな夜更けに個人的に呼び止められたことは初めてで、また違った緊張感が私を襲う。
｢いえ、特に大それた用ではないのですが……｣
少し、お酒を飲みませんか？
｢え、……｣
予想の斜め上を行く言葉に思わず言葉を失ってしまう。すると、紅明様はどこかしょんぼりした様子で頬を掻く。
｢……すみません、突然過ぎましたね。今のは忘れ｣
｢いいいいえっ！違います少し驚いただけなんですっ｣
｢本当ですか？｣
｢本当です！｣
｢……無理はしていませんね？｣
｢もちろんです無理などするわけがありませんっ！｣
｢そう、ですか｣
何故かやけに不安そうな紅明様をなんとか引き止めると、私は近くの縁側まで彼を案内する。
こんな機会滅多にないんだもの。誰が逃すものか。
想い人と二人きりでお酒を飲めるなんて、今日は本当についてる！
｢少しお待ち下さい、今からお酒を貰ってきます！｣
私はそう言って、にこにこ笑顔で歩きだそうとしたが、二歩目を踏み出したところでめっきり体が動かない。
｢あの……紅明様？｣
私の左腕をがっちりと掴んで離さない紅明様を冷や汗混じりに振り返ると、そこには呆れた様子の紅明様。
｢A……貴女ならもう少し気が回ると思っていましたが｣
｢えっ……あ、あの、私何か変なこと言いました……？｣
｢ええ、それはもうとんでもなく｣
呆れたように溜息をつかれ背筋が冷える。
え、待って待って、私何した？今の何が変だったの！？
｢ああのっ紅明様？一体何が悪かったんでしょう？｣
｢まったく貴女という人は……｣
情緒がありませんね。紅明様はそう言うと、ごそごそと懐をまさぐり御猪口と徳利を取り出した。
｢こんな夜更けに誘うのですよ、準備くらいはしてきます｣
｢そ、そうでしたか……｣
初お酒デート(ということにしておこう)だと言うのに、なんだか締まらない出だしになってしまった。
私は、軽く肩を落とすと、促されるまま紅明様の隣に座った。
他サイトですがシャルヤム作品の宣伝です【読み飛ばして頂いても大丈夫です！】※2017/05/22追記しました→←放浪のマギと
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ぴの(プロフ) - リクエストです！ジャーファルさんで謝肉宴お願いします!! (2019年1月15日 10時) (
レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
すず御前(プロフ) - スパルトスさまぁああああああああ (2018年2月16日 14時) (レス) id: 017ce6df75 (このIDを非表示/違反報告)
凰朧月鬼華(プロフ) - 素敵な小説ですね 。更新待ってます！ (2018年1月13日 1時) (レス) id: dc0e03a692 (このIDを非表示/違反報告)
ミカノ(プロフ) - ネネさん» なんでもなんてそんなっ！めっちゃ照れます(*/□＼*)っ できるだけ内容が被らないようにはしてるんですが如何せん発想力が乾物なもので^^; シチュの件分かりました！満足して頂けるよう頑張りますね！ (2017年3月20日 23時) (レス) id: 76a07dd323 (このIDを非表示/違反報告)
ネネ(プロフ) - そうですね。ミカノさんの書くものはキュンと来てなんでも好きですが、アリババ君が夢主ちゃんを攻めてくれたらいいです！ (2017年3月20日 21時) (レス) id: ffbb331e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカノ | 作成日時：2017年2月25日 21時
