放浪のマギと ページ6
｢やぁA。久しぶりだね｣
｢あっ！ユナンさん！｣
お久しぶりです！
私は、突然後ろから掛かった声に、笑顔でそう返した。
私は、レーム帝国の端にある小さな町に住んでいる。
そしてそんな私の家はただでさえ辺境の街の、更に端にあり、私の家を訪れる者などは国の役人くらいだった。
そんな私が彼と出会ったのはもう五年も前のこと。
ユナンさんが森で餓死しかけているのを見つけ、慌てて介抱したのがきっかけである。
それから、ユナンさんは時々私の前に現れては、食事を共にするようになった。
私は幼い頃に両親を亡くしているため、誰かと食事ができるというのはとても幸せなことだった。
｢にしても……相変わらず君の料理は美味しいね｣
｢そう言って貰えると……嬉しいです｣
えへへ、とはにかんで頬を掻く私にユナンさんはクスリと笑う。
｢それに、君は相変わらず可愛い｣
｢……へっ？｣
思わず上ずった声で彼を見つめると、本気とも冗談とも取れるような目で見つめ返され、思わず俯いてしまった。
頬が熱い。
冗談ならそんなことを言わないでほしい。
｢期待、しちゃうよ……｣
｢何か言った？｣
｢い、いえっ！何でもない、です｣
頬が熱いままに、反射的に答えてしまう。
昔から、私が知っている同世代の男の子達はみんな荒々しくて。だからと言って両親世代の男性に恋愛感情を持つかと聞かれれば、もちろん否だ。
そんな中、こんなに穏やかで優しくて──美しい男の人が現れたら。
私じゃなくたって恋をするに決まってる。
｢ねぇ、A｣
なんだか恥ずかしくなって俯いていると、ユナンさんに名を呼ばれた。
なんですか？と答えると、彼は悪戯っぽく笑って机の上に何かの瓶を置いた。
｢あの、これは……？｣
｢ん？ああ、これはね｣
お酒だよ。
そう言ってふわりと笑う彼に、また顔が熱くなってしまう。
｢お酒、ですか？｣
｢うん。だって君、そろそろお酒が飲める歳じゃなかったっけ？｣
｢はい、まぁ……そうですが｣
年齢的にはもう飲める。けれど、だからと言って飲んだことがあるかと言えば、そんなことはない。
正直、まだ自分には早い気がして敬遠していたのもある。
私の気持ちを察したのか、ユナンさんはまた優しく微笑んで言った。
｢大丈夫だよ。ちゃんと僕がリードするから｣
ね？と首を傾げられれば、断れるはずもない。
私はコクリと頷くと、いそいそとグラスの用意を始めた。
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ぴの(プロフ) - リクエストです！ジャーファルさんで謝肉宴お願いします!! (2019年1月15日 10時) (
レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
すず御前(プロフ) - スパルトスさまぁああああああああ (2018年2月16日 14時) (レス) id: 017ce6df75 (このIDを非表示/違反報告)
凰朧月鬼華(プロフ) - 素敵な小説ですね 。更新待ってます！ (2018年1月13日 1時) (レス) id: dc0e03a692 (このIDを非表示/違反報告)
ミカノ(プロフ) - ネネさん» なんでもなんてそんなっ！めっちゃ照れます(*/□＼*)っ できるだけ内容が被らないようにはしてるんですが如何せん発想力が乾物なもので^^; シチュの件分かりました！満足して頂けるよう頑張りますね！ (2017年3月20日 23時) (レス) id: 76a07dd323 (このIDを非表示/違反報告)
ネネ(プロフ) - そうですね。ミカノさんの書くものはキュンと来てなんでも好きですが、アリババ君が夢主ちゃんを攻めてくれたらいいです！ (2017年3月20日 21時) (レス) id: ffbb331e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカノ | 作成日時：2017年2月25日 21時
