信心深い王子様と ページ2
「……A殿、少し離れて頂けますか?」
これ以上煽られるのいくらなんでも理性が持たない。
いつまでも離れない彼女の肩を軽く押すと、私は彼女の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「A殿」
「スパルトス様……」
へにゃりと笑った彼女はとても愛らしい。
こんなにも可愛らしく、こんなにも愛しい。
彼女が自分を好いていてくれたなど、今まで思いもしなかった。
嬉しくて堪らない。
思いあっていたことが幸せで仕方がない。
だが、だからこそ。
「今は貴女の気持ちには答えられません」
「ッ……どう、して……?」
A殿の瞳が悲しげに揺らいだ。
ああ、そんな顔をしないで。それではまた気持ちが揺らいでしまう。
私は貴女が好きだから、心から好いているから。
だから、こんな風に。
こんな酔った勢いで想いを通じ合わせたりはしたくない。
けれど。
「主よ、お赦し下さい」
スパルトスは小さく呟くと、弱々しく見上げる唇に優しく口付けた。
「んっ……」
鼻から抜けるような声が頭に直接響く。
「は……っ」
甘い香りに当てられ、頭がくらくらした。
「今日はここまでです、A殿」
そう言って微笑むとスパルトスはAの耳元に顔を寄せた。そして、
「ですが……明日の夜は、離しませんからね……?」
その声色は、酷く妖艶なものだった。
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ぴの(プロフ) - リクエストです!ジャーファルさんで謝肉宴お願いします!! (2019年1月15日 10時) (レス) id: 3707f5c19b (このIDを非表示/違反報告)
すず御前(プロフ) - スパルトスさまぁああああああああ (2018年2月16日 14時) (レス) id: 017ce6df75 (このIDを非表示/違反報告)
凰朧月鬼華(プロフ) - 素敵な小説ですね 。更新待ってます! (2018年1月13日 1時) (レス) id: dc0e03a692 (このIDを非表示/違反報告)
ミカノ(プロフ) - ネネさん» なんでもなんてそんなっ!めっちゃ照れます(*/□\*)っ できるだけ内容が被らないようにはしてるんですが如何せん発想力が乾物なもので^^; シチュの件分かりました!満足して頂けるよう頑張りますね! (2017年3月20日 23時) (レス) id: 76a07dd323 (このIDを非表示/違反報告)
ネネ(プロフ) - そうですね。ミカノさんの書くものはキュンと来てなんでも好きですが、アリババ君が夢主ちゃんを攻めてくれたらいいです! (2017年3月20日 21時) (レス) id: ffbb331e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカノ | 作成日時:2017年2月25日 21時