第二十四話 既成事実 ページ25
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「却説、私だって君を傷つける為に誘拐してきた訳じゃあない」
「はぁ…………」
「と、云う事で」
不意に彼が立ち上がり、コツコツと此方に歩みを進めた。其の儘私の目の前に片膝をつけて座った。あれ何かデジャブ感が。私を見つめる彼の顔は真剣そのものである、おっふイケメン。
彼はすっと懐から指輪の入ったリングケースを開けた。
「先ずは結婚しようか」
「何が如何してそうなった」
思わず何時の間にか鍛えられていたツッコミ技術が発動してしまった、主な元凶は太宰さんである。
「いやぁ、だって君を囲う最善策はこれしか無いんだよ。もしこれが嫌なら君の家族を全員三途の川送りにするとか」
「止めて怖い怖い怖い」
絶対駄目、という意思を胸の前でバツマークを作って必死に表明する。最善策ってそういう意味ね、それなら喜んで自分の身を差し出すわ。
「うーん、じゃあ如何すれば良いかなぁ。如何思うエリスちゃん?」
何時の間にか彼の後ろに居た金髪の少女に話しかける。え?娘持ちだったりするのこの人??
じー、とその子は私を見つめて口を開いた。
「既成事実を作れば一発よ」
「なんで幼女がその言葉を知ってるのかと問いたい」
真逆そんな爆弾発言をする子だったとは思わなかった。今の時代こういうのが普通なのか??駄目だ理解出来ない。他に頼れる奴、と云うより正しい常識を持つ人は居ないのか。
「そうだよね、困ったときは既成事実!」とニコニコ笑っている森さんを引いた目で見ていると又もやエリスちゃんが云う。
「大丈夫。リンタロウはあの見た目だけど、未だ未だ生物としての本能を持ってるわ」
「ちょっとお姉ちゃんと一緒に警察まで行こうか」
いかんこの子をあの変態から引き離さなければ。
「気づかない内に私の印象が大暴落してないかな?」
「大丈夫です最初から好印象じゃないので」
誘拐犯を好印象で見る人って中々居ないと思います。
諦めた目でそう語りかけると、森さんは「ふふふ」と笑みを溢した。
「私のフェロモンに大体慣れて来たようだね、第一段階終了だ。その縄もきついだろう、今外すから大人しくしてくれ」
「有難う御座います」
スルリと縄が解かれ、体が自由になる。第一段階という不穏な言葉が聞こえた気がするが空耳だと思いたい。
私は速攻で逃げた。
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Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
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