第十三話 執拗い男は嫌われる ページ13
∞
其の儘会計を済ませてうずまきを後にし、探偵社に戻った。
…………やってしまったぁー!!
バンッと音を立てて自分のデスクに頭を打ち付ける。本気で何やってるんだ私。ばかバカ馬鹿阿呆クソおんな……
「…………でも、いい匂いだったなあ」
スン、と鼻で匂いを嗅ぐ。甘すぎず、苦すぎず。どこか涼しささえ感じる、太宰さんらしい香り。
其の呟きが聞こえてしまったのか、隣りにいた太宰さんがガタリと音を鳴らした。
「.........ヤベ」
サァーと顔から血の気が引いていく。
「あの、太宰さん。
太宰さんは其の儘席を立ち上がり、カツカツと私の席の後ろまで来た。
何をされるのかと思えば、後ろから抱きしめられた。
「………………へ、」
「Aちゃんめっちゃ良い匂いする。スー……」
頭の中がハテナでいっぱいになった。
え、太宰さんが、私にくっついているだと………?
と云うか然りげ無くちゃん付け。
「は?」
「もう何か吹っ切れたよ有り難う!んふふ、髪サラサラなんだね。可愛い」
「だ、太宰。お前急に如何したんだ?」
国木田さんが遂に此奴頭狂ったかと心配するように声を掛けた。他の社員の人たちも此方を凝視していた。
……いや見てるだけじゃなくて助けてもらえます?
「君が泣きついてきたときの泣き顔はほんっとうに可愛かったよ。ぜひ又泣く機会があったら私の目の前で──」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっざ」
ピキリ、と空気に罅が入る。私が放った一声は、思ったより効果があったようだ。
後に国木田は語る。
あれ程迄探偵社に冷たい空気が流れたことはないと。また、太宰を見つめる彼女のあの冷酷な表情は人を10人殺めても可笑しくない、と。
阿呆みたいな笑みを浮かべていた太宰もその一言で体が動かなくなった。
彼女は立ち上がり、コーヒーを取りに行った。
その後太宰はやっとの思いでボロボロと涙を溢したそうだ。知らんけど。
∞
116人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Gal - 魔人ガーZ…なんかあったな、そんなの。ガンダムみたいな奴… (4月27日 19時) (レス) @page45 id: 6203c50de1 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - お二人共コメント有難うございます!!真逆そこに触れていただけるなんて……(笑) (3月4日 14時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 瑞穂さん» 同じく!! (3月3日 23時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
瑞穂(プロフ) - 物語に関係ないけど、魔人ガーZ好きです (3月3日 23時) (レス) @page45 id: 18f9935b97 (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - graply12さん» 私チョロいのでその言葉信じちゃいますよ……??良いんですね!?!?コメント有難うございます!!公開するのはいつになるかは分からないんですが、書き溜め作っときますね……! (3月2日 22時) (レス) id: 1a675fd086 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ