検索窓
今日:4 hit、昨日:6 hit、合計:11,953 hit

4話 ページ6

.


こうして私は「特殊制圧作戦群・甲分隊」、通称《猟犬》の仲間入りを約束された。

とは言っても、一般女子高生が急に飛び入りするなど言語道断。体育の成績は良いとしても、軍警の中であれば私の身体能力は鼻で笑われるのもいいところだろう。
それに、福地さんの言っていた《猟犬》というものは、日本の軍警最高峰の人材を集めた特別な隊らしい。


「政府の管轄に入れば問題ないんですよね。どうしてそんな凄いところに私を?」

「君の異能力は特別なものだ。だから是非、《猟犬》に招きたい」


特別__________。
福地さんの自信に満ち溢れたこの言葉を思い出すたびに、にやけてしまう。

政府の監視下でなら夏休みまで在学することを許された。
夏休みが終わってから士官学校に編入し、十分な訓練を受けてから《猟犬》特有の生体手術をする。
手術は確かに怖いが、止めるという選択肢は絶対にない。それ以上に私の決意が揺らがないのだ。

憧れが、思わぬ形で叶うかもしれない…!

それから毎日、高揚感に胸を躍らせながら、残り少ない学校生活を送る…


____________筈だった。


△▼△


「全員動くな!動くとこの餓鬼撃っちまうぞ!!速く金を用意しろ!!」


夏休みの最中、銀行へ口座を作り直しに行く時のことだった。
黒の覆面を付けた男が小さな女の子の頭に拳銃を突きつけていたのだ。


「いやぁぁぁあああッッッ!!!」

「ママぁっ!!助けてママぁあっ!!」


母親であろう女性と女の子の悲鳴が痛々しく響く。
辺りは騒然としながら、この緊急事態に人々は身動き一つ取れていなかった。

だが、この頃の私は臆することを知らなかった。


「その子を離して!」

「誰だお前!そこから一歩でも動いてみろ、本当に撃っちまうぞ!!」

「やれるものならやってみなさいよ!」


思えば、私は有頂天で自信過剰になっていたのかもしれない。
福地さんの“特別”という言葉に背中を押され、恐れ知らずの私が出来上がっていたのだ。


「おッ、女が二人に…?!___ぐあッ!?」


男の前に私のコピーを作り、殴らせる。男がひるんだ隙に本物の私が女の子の手を引いた。

やった…!上手くいった!
こんな局面だって立ち回ることができたんだ!


「お姉ちゃん…!ありがとう!」

「よかった…。危ないから下が」


____________パァン

乾いた音が聞こえた。だがそれが何なのか、頭で理解する前に私の意識がプツンと途絶えてしまった。

5話→←3話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

とっふ - わぁ……夢主ちゃん可愛い…最高ですね! (1月3日 17時) (レス) @page2 id: 521a35a539 (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - 最高です!続き楽しみにしてます!! (9月21日 20時) (レス) id: 2822ecfe2a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ラザニア太郎 | 作成日時:2023年3月27日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。