十五話 ページ17
「で……。」
「うふふ。」
「説明はそれだけかこの包帯男ォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!」
バシン、と書類で太宰の頭を叩く音が響く。
しかしそれでも笑顔のままの太宰、呆れている国木田が大仰にため息をついて視線を落とす。
「何が『女は……、いや彼女は正に私の中で心中してほしい女性最上位だったね!』だ!!!お前の眼と耳と鼻は飾りかッッ!!」
「国木田さん、鼻は違うと思いますよ。」
無難に突っ込みを入れる賢治。
そしてその傍でにやにやと笑みを浮かべている乱歩。
太宰は叩かれた頭を自分の左手で撫でながら口を開いた。
「なあに、勿論他にもあるに決まっているよ。だから国木田君、その右手に持っている六法全書を置き給え。」
太宰の視線の先には分厚い六法全書を持って目を見開いている国木田。
「嘘だったら握り拳程度の大きさのこぶがその頭に出来ると思え……。」
そしてわざとらしく音をたてながら六法全書を机上に置く。
それを合図に太宰はニッコリと笑って座っていた体を立ち上がらせた。
「では、私と敦君が接触したその女性について話そう……。結論から言うと……。」
ゴクリ、と唾を飲み込む音がした。
敦はもう既に知っていたのだ。彼女がただの人間ではないことを。
では、何か?
宝石のような瞳を持った少女。
豪快で温厚そうな、けれどもどこか影のあるあの少女の正体。
それは勿論_______
「_______彼女は私たちと同じ……異能力者だ。」
ドクン、と音がする。
やっぱり。
敦は額に一筋の汗が垂れているのを感じながら思った。
「そしてここからは私の推測に過ぎないが……その異能は極めて危険だ。下手に再び彼女と接触して敵に回せば探偵社は
「なんだと……!?」
国木田が目を丸くして太宰を見つめた。
国木田だけではない、他の社員も皆目を丸くしている。
「あくまで推測に過ぎないが。」
念を押すように言う太宰。
だがその言葉には皆の不安を取り除くためのものに過ぎなかった。
敦の膝の上で握られていた拳の力が更に強くなる。
たった一人で探偵社を潰し得る可能性がある異能を持っている彼女。
あんな少女の何処にそんな力があるのだろうと敦は不思議で仕方がなかった。
「で、その女の能力は一体どういうものなンだい?」
与謝野が目を鋭くさせて問いかけた。
そしてその問いに太宰が答えようとする。
その時だった。
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夏蜜柑(プロフ) - さけられるチーズさん» コメントの返信が遅くなってしまいすみません。応援ありがとうございます。これからも頑張って書き続けますのでよろしくお願いします(^^) (2016年5月2日 17時) (レス) id: 4b1740a2d9 (このIDを非表示/違反報告)
さけられるチーズ(プロフ) - これからどう芥川さんにいくか気になります!♪( ´▽`) 更新頑張ってください! (2015年7月3日 19時) (レス) id: 26b822a438 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 中矢さん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。期待に答えられるよに書いていきますのでこれからも是非よろしくお願いします。 (2015年5月5日 22時) (レス) id: 61e9595a71 (このIDを非表示/違反報告)
中矢(プロフ) - 楽しく読ませていただきました。私も原作読んでます。いいですよね!続き頑張ってくださいね! (2015年5月3日 19時) (レス) id: 7f7dd8e1cd (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 禁煙Dutchさん» ありがとうございます。更新を頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2015年3月29日 21時) (レス) id: 9f8193b493 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏蜜柑 | 作成日時:2015年3月20日 20時