夢ならどうか覚めてくれ No.3 (ページ19)

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ぬい。ページ19

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『んお』

店先に並んだふわふわな可愛い見た目。

『んー…んんん？何か似てる気が…』

そのふわふわな見た目に何やら見に覚えがある俺。

身に覚えというか…既視感というか…あ！

『すいませーんこれくださーい』

｢はいよー｣

まあ衝動買いした訳で。

そのままスティーブンさん宅に帰っていった。

『ただいまーっす』

｢お帰り、早かったね｣

今日は午後から休みになったスティーブンさんがもう家にいる。

けどこの人帰っても書類とか弄ってるから休みになってないんだよね実際のとこ。

『ねーねーこれ見てスティーブンさん』

｢うん？｣

まあそんな事は置いといて、俺は早速さっき買ったものを背中から目の前に出す。

出したものは…

｢…ペンギン？｣

『の、ぬいぐるみっす』

そう、ぬいぐるみ。ペンギンのふわふわモコモコなぬいぐるみだ。

｢どうしたんだいそれ、君がそんな物買ってくるなんて珍しいじゃないか｣

『酷いなあ、俺だって可愛いものは好きですよ？あとこれは既視感があって買ったんです』

｢既視感？｣

…ふふん。

ソファに座ってるスティーブンさんにつかつかと歩み寄る。

隣に座ってずいっとペンギンのぬいぐるみをこれでもかというくらい近づける。

｢…近いよA｣

『これですね、スティーブンさんに似てるなあと思って買ったんです』

｢僕？｣

きょとんとした顔。いきなりこんな事言われちゃまあそんな顔はするよね。

『エスメラルダ式血凍道』

｢？｣

『アヴィオンデルセロアブソルート(絶対零度の地平)』

なんて言ってみて、ペンギンをスティーブンさんの膝の上にポスンと乗せる。

それからペンギンの腕を掴んでぴこぴこと動かす。

『ほら、スティーブンさんって血凍道使うじゃないですか。だからペンギンだなあ、似てるなあって』

で、スティーブンさんの顔を改めて見てみる。

そしたらどうだ、赤面して書類で顔隠してるという。耳まで真っ赤とかこれはレアだぞ。

『あれ？俺なんか変な事言いました？』

｢…君も存外あざといな｣

『え、何で？』

俺スティーブンさんよりあざとくないと思うんですけど。

と言いそうになったつかの間、書類はテーブルに、ペンギンのぬいぐるみは俺の手からかっさらわれスティーブンさんの顔がぐっと近付く。

え、ちょ、まさか

『待っ、んぐっ』

そのまさかだ、不意打ちとか聞いてねーぞ。