少女漫画のようにはいかなくても【松野千冬】

両想い＊8 ページ9

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「…そんなこと、知ってますもん…そーだと思ってましたよ！」








そんなことを言ってみるけど、全部嘘だ。
俺の事は大切にしてくれるし、付き合っているってことは俺の事が好きって分かってたつもりだった。


けど、Aさんは俺が思っていたよりも俺の事をちゃんと見ていてくれて、
ちゃんと好きでいてくれた。


不安になんてなる必要なかった。
そう思えるくらいに、Aさんの言葉は胸にストンと落ちて。


ああ、ちゃんとAさんは俺だけのモンなんだなぁなんて考えると照れくさくなって、
その華奢な体を思い切り抱きしめた。











『思ってたのかよ！本当に〜？』



「Aさん、男見る目だけはあるし」



『えー、それ千冬が言う？』










嬉しい。嬉しすぎる。
こんなに幸せでいいのかな俺。


Aさんがこんなこと言うキャラじゃねぇのは知ってる。
俺に素直な気持ちを伝えるために、俺を不安にさせないために、
慣れないことをしてくれたんだと思うと、更にAさんが愛おしくなった。










「俺もAさんが好きです」










何度も伝えてきた言葉。
けど、言わずにはいられなかった。










「優しくて可愛くて何でも器用にやっちまうのに、少し不器用なところも」



『うっさい…』



「そーやって、すぐ照れるところも。全部全部好き」









言葉で言い表せないくらい、Aさんが好きだ。
さっき、千冬に負けないくらい千冬の気持ちに負けないくらい私も千冬が好きって言ってくれたけど、俺はそれ以上にAさんを好きな自信がある。


先の事なんて分からねぇ。
けど、来年も再来年も…重すぎるって思われるかもしれねぇけど死ぬまでずっとAさんといたい。
この人じゃねぇとダメだって、出会った時より強く思う。










「俺と付き合ってくれてありがとうございます…！」



『バーカ、私は好きで付き合ってんの』



「へへ…そのまま俺の事ずっと好きでいてください…！！」



『はいはい』











俺はAさんが好きだ。
昨日より今日、今日より明日、Aさんが好きって自信がある。










『…んで？キスはもう終わりですか千冬サン』



「Aさんはキス魔っスか？」



『違うわアホ』










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