遠いようで、近い os ページ41
縁談の話が耳に入ったのはつい最近だった。
相手は上流層の貴族で、両親もとても喜んでいた。
私もそろそろ良い歳なので縁談についてはとても嬉しかったが、相手の名前を聞いた時に背筋が凍った。
「オスマン様が、私と…？」
オスマン様と言えば、皇后様の兄に当たるひとらん様と深い関係を持つ方だ。温厚なひとらん様と比べ、酷薄な人間と噂されているのは私も承知している。
(あぁ、どうしよう…。私みたいな地味な女が、オスマン様の隣に立つ資格なんて、絶対ない…)
くる日もくる日もそんな事を考え、ついにオスマン様の屋敷へ訪れる日が来てしまった。
着物に包まれた私は、ゆらゆらと揺れる馬車の中で、これからの先を考える。
私はちゃんと、やっていけるのかな。
「お初にお目にかかります…。Aです」
「オスマンや。早速だけど、出掛けるで」
鋭い目付きは私をじっと捉えたあと、すぐに逸らされた。どうしよう、私何か地雷踏んだのかな。
意外にも優しい手付きで私の腕を掴んだオスマン様は、そのまま用意された馬車へ向かっていく。
互いに言葉を紡ぐ事なく、馬車に乗り込んだ。
「Aは…俺が、怖い？」
「へ？」
予想もしていなかった質問に、私は情けない声を出す。酷薄と呼ばれるには似つかないオスマンさんの悲しそうな顔がそこにはあった。
「いや、ほら、俺って冷たい人間って思われてるみたいだから。妻となるAにも、そう思われてるのかなって、思っただけや」
「…以前までは、怖いと思ってました」
そう告げれば、あからさまにシュンと俯くオスマン様。��でも��そう口を開くと、オスマン様は顔を上げてその言葉を待った。
「何気なく付き添いしてくださったり、転ばないように手を優しく掴んだりする姿を見て、優しい方だなと感じました」
「…そう、ならええんやけど。縁談の申し込みも、俺がAに一目惚れしたからだったから、了承した時は嫌々ちゃうかな、って不安になってたけど、大丈夫そうやな」
柔らかい表情をするオスマン様の顔が近付き、唇に違和感を感じる。
「これから頼むで、A」
「…はい、旦那様」
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できるニート(プロフ) - 真由さん» ホントですか！そのコメントだけでも励みになります！更新頑張ります (2020年12月25日 12時) (
レス) id: ffbcb8a332 (このIDを非表示/違反報告)
真由(プロフ) - 初コメ失礼します...！最新話が鬼っほど大好きです...解釈一致が凄いです...ありがとうございます...！！！ (2020年12月25日 11時) (レス) id: 045f50c8f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：できるニート | 作成日時：2019年9月1日 14時
