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side.O
マスターの店で少し早目の夕食を済ませ、翔くんの分も持って店を出る。
「うぉ、さっみぃ…」
四月の気温というのは全く読めないもので、あまりの寒さに足を止めてしまう。
ダウンを着てきて正解だったなと考えながら急ぎ足で家に戻る。
もうすぐ帰ってくるであろう翔くんの為に風呂を沸かして、自室に戻りキャンバスを出そうとすると、チャイムがなった。
「はぁーい、って翔くん？」
セールスか何かかと思えばモニターに映っているのは翔くん。
鍵でも忘れたかと疑問に思うと、翔くんの後ろから数人がさっと出てくる。
俺はその内の一人を見て直ぐに事態を察した。
「雅紀、それに風間くんも」
「ごめんね、翔ちゃんには大ちゃんに内緒で突撃訪問しよって言って。お邪魔してもいい？」
少し萎縮気味の雅紀はらしくない。
そうは言っても雅紀や隣の風間くんが申し訳なさそうな顔をするのも分かる。
「もちろん、空いてるから入ってきて」
そう言ってモニターを切り冷蔵庫を開けるもジュースと呼べる飲み物はなく、
「お茶しかねぇけど、まぁいっか」
グラスとさっきマスターに作って貰った料理をテーブルに並べる。
「お邪魔しまーす」
最初に入って来たのは雅紀と風間くんで、次に入って来たのは…俺は知らない二人。
喋り口調や行動から察するに新入生ってとこか。
そして、その二人に続くように翔くんが入って来た。
「おかえり」
「ただいま、智くん」
いつも通りの会話も他に人が居れば、ましてや後輩ともなれば照れる。
「もぉ大ちゃん！会いたかったよぉ」
物凄い力で抱き着いてくる雅紀を宥めながら俺の目線の先には先程の新入生二人。
その内の一人はキョロキョロとリビングを見渡し、落ち着かない様子。男なのに容姿は翔くん寄り。
て言っても翔くんはそんなに濃くねぇか。
で、かたやもう一人はそいつとは正反対に妙な落ち着きがある。
それどころか先輩のはずの雅紀にもフランクに話しており、緊張しているとは到底思えない。
顔は童顔、まぁ可愛い顔してんな。
あっ、でも俺は翔くんしか見てねぇけど。
「えっと、あのぉ、初めまして。一年の松本潤っていいます。翔さん、あの櫻井先輩とは仲良くさせてもらいたいって言うか。今後とも宜しくお願いします」
しどろもどろ言いたい事はゴチャゴチャだったが思いっ切り頭を下げるのを見ると良い奴なんだなと思う。
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年9月1日 14時
