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side.O
"翔ちゃんとご飯行って来るから翔ちゃんが帰るの少し遅くなるかも"
昼過ぎに雅紀から来たメール。
今までは翔くんと一緒に家を出て同じ学校に向かって歩いていたのに今日から俺と翔くんは行先が違う。
結果、同じ時間に家を出て家の前で別れるという慣れない別れ方に俺も翔くんもぎこちないと感じていた。
今日は俺も翔くんの高校も入学式だから普段よりかずっと早く終わって、相葉ちゃんからメールが来る頃にはもう家に帰って来ていた。
"了解。翔くんのことヨロシク。楽しんでおいで"
そう返信して携帯を置く。
翔くんの帰りが遅いなら絵を描こうか、それとも何か作って待っていようか。
「て言ってもなぁ」
冷蔵庫を開けるまでもなく買い物に行っていない今日はろくな食材がないことは分かりきっている。
「仕方ねぇ、マスターのとこ行くか」
暇な時やゆっくりしたい時、何度か翔くんと行ったことがある近所の喫茶店。
殆どの客が常連さんだから落ち着くし、顔見知りの人も沢山居る。
「どうもぉー」
「おー、いらっしゃい。今日は、一人？」
店は昼時を少し過ぎたせいかさほど混んではいなかった。
「はい。いつものお願いします」
「あいよ」
カウンター席に座り、注文する。
ここの気さくなマスターは小川さん。
まだ学生の俺と翔くんにも良くしてくれて、偶に裏メニューの試作品を翔くんが食べてたりするほど。
翔くんと一緒に暮らし始めた頃から来てる店だから、小川さんと知り合ってもう一年か。
思えば、長いようで本当に一瞬だったな。
「はい、砂糖少なめミルク多めね」
「どうも」
「最近どうだ？翔くん元気か？翔くんが来てくれねぇから寂しいよ」
まぁライバルは多いというものでマスターも翔くんのことはお気に入り。
俺が一人で来たらこれだ。
「元気でやってるよ。でもマスター、俺もお客の一人だからね？」
「すまんすまん。つい、ね。今作ってる新作の感想を聞かせて欲しくてさ」
まぁその気持ちは分かるけど。
「伝えとく。翔くんも喜ぶと思う。マスターの料理うまい美味いって食ってるから」
「さすが、やっぱ翔くんは分かってるわ」
翔くんは俺のもんだからな。
「ねぇマスター、何か作って。今日翔くん帰り遅いから俺一人だし」
「あいよ」
翔くん、マスターの料理食べたって言ったら「俺も食べたかった」って言うんだろうな。
「マスター。やっぱ翔くんの分も追加で」
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年9月1日 14時
