43 いい過ごし方。 ページ49
side.O
すっかり梅雨も開けて夏の日差しが強くなってきた。
雨が降らないことが嬉しくもありながら、ジリジリと照りつける暑さは毎年、適わない。
室温が30℃を上回ったらクーラーを入れる。
それでも全体が冷えてしまわないうちに消す、ということを繰り返す。
翔くんは、皆んな暑いんだからクーラー入れていいよ、と毎度の如く言ってくれるけど誰一人として最初は入れようとしなかった。
それでも熱中症なんてなったらどうすんの、ってことで室温が30℃を超えた場合のみクーラーを入れるというルールを適用した。
「なーにしてんの？」
クーラーのリモコンを持ってソファーに座っている翔くんに問いかけた。
寒がっているようには見えないから、暑くなったか。
「……何でもない」
珍しいぐらい落ち着きがなくて、何か隠していることを確信した。
「翔くん、暑かった？」
ブンブンと首を横に振る。
「暑いなら言ってくれりゃいいのに…」
「暑いなんて、、言ってない」
ちょっと拗ねちゃったけど、翔くんの嘘は昔から分かりやすいんだよな。
でも、どうして教えてくれないのだろう。
＿＿あ、また人のことばっかり優先したか。
俺の言いたいことが分かったのか、翔くんはぽつりぽつりと話し始めた。
「智くん達はいつも、暑くても例え30℃を超えてても俺に気を遣ってクーラー入れないでしょ？」
だから、、俺が暑いなんて言ったらまた智くんに迷惑掛けちゃうから。
そう言うとリモコンを元の位置に戻し、
「ちょっと、部屋に戻るね」
と携帯を持って階段を上がろうとする。
そんな翔くんの腕を慌てて引っ張って引き止めた。
「俺たちに迷惑なんて言葉ないってこと、忘れたか？」
忘れたなんて言わせない、そんな顔で見つめれば、ふふっと笑う。
デジタル室温計を見てはリモコンに手をかけ、クーラーを付ける。
そして、またソファーに座ると隣を叩いて俺に座るように促した。
二人並んでソファーに座って庭を見る。
「いい過ごし方かも…」
隣を見れば、気持ちよさそうに眠る翔くんがいた。
風邪を引かないように、翔くんが寒くないようにブランケットを掛ける。
ふと肩に重みを感じたと思えば、愛しい寝顔が垣間見える。
久しぶりの興奮を止めることは出来ず、ぷっくりとした翔くんの唇に俺のを押し当てた。
１回だけと決めたキスはどこか寂しさのあるものだった。
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
