35 最低な言葉で。 ページ38
side.M
「もう、いいかな……？」
落ち着きというものは今の俺には1ミリもないのだろう。
「潤くん。どうしたの？そんなに気になる？オジサンの方がまだまだ余裕あるんじゃないですか？」
分かってるよ。
隣に居る和からそんなツッコミが入る事も分かっているはずなのに、どうしたものか。
でも、どう見たって三人揃って廊下に出てこうやって聞き耳立ててりゃおかしいって。
それに、さ。
「あの二人見てたら心配っていうより、嫉妬してんでしょ？」
大野さんには聞こえないように俺に小さく言った和は、分かりやすいなぁ、と言って笑った。
「バレてんのかよ……」
「この俺の観察眼を舐めんなって話ですよ」
＿チッ、
「今の舌打ち、完全アウトですからね」
あぁ、俺思いっ切り踊らされてる。
「もう、良い頃でしょ。潤くん入ってきたら？」
確かに中から聞こえてくる声はさっきのような泣き声は聞こえてこないが、さすがに直ぐに入るのも空気を乱すようで悪い。
「松潤が行かねぇならおいらが行くけど？」
「あっ、俺が……」
って言った時にはもう遅くて。
大野さんは思い立ったら直ぐ行動って人だから、俺が返事した時には扉開けて中に入って行くんだからビックリだよ。
「どんまい、潤くん」
めちゃくちゃ面白がってたくせに。
大野さんの後に続くように和もリビングに入って行くもんだから慌てて俺も追いかける。
「俺、来週さニューヨークに行くから」
「「「「来週？ニューヨーク？？」」」」
いきなり告げたもんだからやっぱりそうなるわな。
ちょっと、っていうか恐らく怒ってんだろうなっていう和。
普通にお茶を持ったまま固まってる雅紀。
俺をじっと見つめて様子を伺ってる翔さん。
俺の言葉の続きを待っている大野さん。
「俺、もっと料理の勉強がしたいんだ。料理人になりたいんだ。で、それを大学で相談したら来週ニューヨークに下見に行ってこいってさ。有難い話だし、下見だけでも行こうかと思って」
分かってるよ、今俺がこの4人に、いや翔さんにどれほど最低な事を言っているか。
「本気か、松潤？」
大野さんのいつもと違う低い声。
「俺がこのシェアハウスをする時に言ったこと忘れたわけじゃねぇよな？」
でも、
「智くん……もう、いいんじゃないかな？」
大野さんの言葉のすぐ後に翔さんの声が重なる。
それは悲しくて、辛そうな声だった。
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
