21 制限と自由は。 ページ22
side.O
「翔くん」
「うん？」
「あんまり長くは駄目だよ」
「分かってる」
残念そうに、悲しそうに、分かっている、と答える翔くんに俺はまた少し苦しくなった。
ただ庭に出るだけなのに。
それすらも制限される翔くんの生活はどれ程までに生きづらいのだろうか。
翔くんとずっと一緒に居る俺が一番分かっているはずなのに。
やっぱり人の痛みを直接理解するのは難しい。
でも寄り添うことなら、あの３人も俺も皆んなそう思って翔くんと共に暮らしている。
それでも翔くんは他の三人のことは信頼はしていても甘えようとか、そういうことは一度も思わないらしく。
俺としては嬉しいような甘えて上げて欲しいような、よく分からない気持ちになる。
「今日は雨、降らないって言ってたけどなぁ」
庭に出てからも時折、空を見上げては俺を見つめる。
“まだいい？”
口には出さずとも翔くんの目がそう訴え掛けている。
雨が降ってからではもう遅い。
でも今以上に制限を増やすことで我慢をさせたくない。
それすらも、ストレスになりかねないから。
「いいよ、でも後十分したら中に入ってよ」
まだ直ぐには降らないだろう、そう思った俺は庭で唯一の自由を楽しむ翔くんの姿を横目に昼食の準備を始めた。
松潤が翔くんの為にと買ってきた花を皆で植木鉢に植えて。
ニノは翔くんがくつろげるようにと優しい木の香りがいい、椅子を。
雅紀は翔くんが庭に出ても寒くないようにって、スカーフを。
この庭にも優しさが溢れている。
「智くーん」
俺を呼ぶ声に慌てて庭まで行くと、空を指差している翔くんがいた。
「ん？どうかした？」
俺が問いかけても何も言わずにただ空を指差す翔くん。
「あっ、」
見上げた空は先程とはうって変わり綺麗な青空があった。
「晴れたね、智くん」
少しずつ笑顔が増えた。
出会った頃の翔くんに戻りつつある気がした。
それが嬉しくて思わず抱き締めたくなる。
「そうだね。良かったね、翔くん」
「写真撮って、皆に送ろうか？」
「うん、喜んでくれるかな？」
当たり前だ。
皆んな、青空は好きだ。
それに翔くんの笑顔も。
「じゃ、撮るよーー」
空を指差して笑う翔くんは最高の笑顔で。
撮っている俺も思わず笑みが零れた。
「智くんも、一緒に写ろーよ」
「ありがとう」
でもこれじゃ動き過ぎて写真じゃなくて動画の方が良かったかもね。
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
