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第39夜 ページ43

コンコン、と、控えめに、王室のドアをノックする。

「誰だ?」
「Aよ。」
「おお、入っていいぞ」

ギイ…
ゆっくりと、茶色い扉のドアノブを回し、押す。
申し訳なさそうに眉を下げた顔を見てシンドバッドは、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑って
「どうしたんだ?君が自らここに来るなんて珍しいな。」
わかっているであろうに、意地悪だ。
「…ごめんなさい、昨日、迷惑をかけたようで…」
「ああ、あれか。大丈夫だよ。俺は君を止めただけだ。それにしても、昨夜の君はとても良かったよ」

最後の一言に、サァっと血の気が引いた。

まさか私、酔った勢いで、シンドバッド王と……!!?
目尻に涙を溜めながらショックを受けるAに対してシンドバッドは
「はっは、何か誤解してる?俺と君は何もしてないよ。ただね、普段と違って俺に対して優しかったからね。」
その言葉にホッとした。紅覇以外の男と、なんて嫌だし、怒られるどころの話ではない。
「どうか、普通の時ももう少し優しくしてくれないか?こう見えても少し傷つくのだよ」
「えっ…ご、ごめんなさい。そんなつもりはないのだけれど…冷たく当たってしまうの…」
本気で落ち込むAに、シンドバッドは少し焦った。
「いや、そこまで落ち込まなくても。普通にしてくれればいいから。」
「ええ。……“シン”。」

最初に、シンとでもよんでくれと言われていたが呼べずにいたので、呼んでみたが、なんとなく恥ずかしく、細い腕で口元を覆った。

「…!!今、呼んでくれたか!」
「なによ、悪い?」
「いや、全然!むしろ嬉しいぞ!」
「そんな子供みたいな顔しないでよ、気持ち悪い」
思わず毒づくが、その顔は真っ赤に染まっていた。

「はは、ひどいな。それにしても、服もそのままだったのか。風邪を引くだろう、新しい服を用意してるんだ。これなんだがな。自分の部屋で着替えてくれ。」
そう言って渡されたものは、ヤムライハ達が真面目な催し物があるときに羽織っている、式服のようなものだった。
「ありがとう…」
頬を桃色に染めながらふわりと微笑んだ。


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*riria*(プロフ) - あおぴーさん» ありがとうございます!あれっ、本当ですか!?ご指摘されなければ気付きませんでした!訂正させていただきます! (2017年12月29日 14時) (レス) id: e74e338575 (このIDを非表示/違反報告)
あおぴー(プロフ) - この小説ハマりました!これから頑張ってください!あと、主人公のプロフィールで紅覇の彼女じゃなくて彼氏って書いてありました。 (2017年12月29日 10時) (レス) id: 41b52c9fe8 (このIDを非表示/違反報告)
乃愛(プロフ) - がんばっ(*´罒`*) (2017年10月2日 18時) (レス) id: 6a6fa932dc (このIDを非表示/違反報告)
*riria*(プロフ) - 優愛さん» そう言っていただけて嬉しいです!!更新が遅くなっていますが、今後ともよろしくお願いします。 (2017年8月17日 18時) (レス) id: 84674f5e6b (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - お気に入りに登録させてもらいました!毎回読むのが楽しいです!頑張ってください! (2017年8月17日 11時) (レス) id: 17cace4cd1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*riria* | 作成日時:2017年3月25日 8時

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