歪んだ世界

39話 ページ40

目を開けるとただ白い天井が見えた


「…病院？」


腕に点滴が刺さっていた


なぜここにいるのか、私は記憶を辿っていった


「……！！アヤト！！」


バッと起き上がると横っ腹に激痛が走る


？「まだ完治していない。寝ていろ」


「アキラ…さん…私は…どうして」


ベッドの横で座っていたアキラさん


きっとずっと私が起きるのを待っていたのだろう


アキラ「…あの現場で黒ラビットと思われる血痕が残っていた。そこにお前は倒れ意識がなくなっていたんだ」


"肝心の黒ラビットがいなかったが…"と目を伏せた


「私…生きてる…」


アキラ「？あぁ生きてるぞ？」


"おかしなことを言うな"と眉をひそめた


「また…失った…」


ポタポタと手に涙が落ちていく


アキラ「A？どうした？何かあったのか？」


戸惑いを隠せないアキラさん


当然だ、アキラさんの前で泣くのはあの事件以来なのだから


「大切な人を…私は…この手で…」


"殺しました"と涙が溢れ嗚咽が漏れた


アキラ「…殺した？一体…誰を?」


「黒ラビット」


"彼は私の…大切な人だった"思い返すだけで精神が破壊されそうだ


アキラ「…黒ラビットがAの大切な人」


「彼は私にワザと殺されました…私を守るために。私を幸せにするために」


"望まない幸せだ"拭っても拭っても涙は止まらない


アキラ「黒ラビットは…喰種だ」


「分かってる!!!!!!そんなこと…言われなくても…!!!!!でも私は…喰種、捜査官で…彼との立場が違う事も！！」


"この世界は間違ってる"そう泣きわめくと


アキラ「…誰かを好きになるのは辛い。立場が違う相手なら尚更だ。よく耐えた」


"思う存分泣け"とアキラさんは抱き締めてくれた


私は声にならない叫び声で泣き喚いた


いくら泣いたって


彼が帰ってこないことはわかっていた


でも、それでも私は


彼がいない世界を認めたくはなかった

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