歪んだ世界

26話 ページ27

アヤトsaid


「連絡しなきゃフルボッコな」


Aと付き合い始めて数週間が経った


未だ俺は心配性らしく


Aが捜査を終えたら連絡をする事になっている


なぜ？


そんなの言えばわかんだろ


"黒ラビット"が人間とつるんでる


他から見れば奇妙な光景だ


しかも手ぇ繋いでんだろ？


言っちゃえば黒ラビットの大切な奴。


俺のことが嫌いな喰種は人質に取るだろうな


だからAが捜査の時はバレないように見守るのが俺の仕事。


それと…黒ラビットの出現も。


黒ラビットの時は声、性格を変えるようにしている

勘の鋭いあいつの事だ、すぐバレちまうからな



Aと付き合えて正直嬉しい


Aが好きだと想いが募っていく


隣にいるだけで俺は幸せなんだ


だから…たまにしか素直になれなくて


Aには申し訳ねぇけどそれが俺だ


「…っと電話か」


Aではない。今まさに捜査をしているから


「もしもし」


？『あぁ…アヤト。お前に仕事だ』


電話を出るとタタラさんの声だった


「仕事って…なんすか?」


タタラ『最近…女のハトが1人、俺らの区を徘徊してる。警戒とともに殺しておけ』


「それって…」


"俺の事探してる奴っすか?"とすぐに"そうだ"と返ってきた


「どうしても…殺さなきゃダメなんすか?」


タタラ『お前らしくないな。いつもならすぐ殺すはずなのに』


"何かあるのか?"痛いところを突かれて思考が止まってしまった


「いや…中々面白い奴なんで…殺すのが惜しいというか…」


タタラ『…そういうことならお前の好きにしていい。好きな時に殺せ』


"じゃあな"と切られ俺はしばらく電話を見つめていた


と、急にAの匂いが強くなった


「……っ！！まさか！！」


ダッシュで居場所を突き止めると絶体絶命


「(電話に夢中で気がつかないなんて！)」


黒ラビットのマスクをつけ俺は無我夢中で殺した

殺している最中、チラリとAを見ると腕からの出血が半端じゃなかった


「殺して…やる…！！」


Aを傷つけたことが許せなくて


俺は殺し続けた。


最後の一体を殺した時、背後でAは俺を呼んだ


"黒ラビット"と。

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