歪んだ世界

16話 ページ17

プルルルル…プルルルル…


有馬『有馬だけど』


何コール目かでやっとでた


電話越しでもダルそうな返事。


よくよく考えてみれば時刻は深夜だった


「凛堂A准特等です。ご報告をするべくお電話いたしました。捜査中Sレートと遭遇、駆逐完了。場所は〜…」


事細かく現場を説明し電話を切ろうとした時


有馬『黒ラビットの報告そろそろ聞きたいなぁ〜』


出ました。有馬お得意の挑発


「聞きたいも何も2日しか経っ((有馬『喰種捜査官何年やってんの』…はい」


「ではご報告します。黒ラビットについて未だ何も情報を得られておらずどの喰種なのか検討がついていません。以上ご報告させていただきます」


"報告はしましたから。では"と電話を切るのはいつもの事


アヤト「……黒…ラビット？」


彼は唖然とし険しい顔で私を見た


「そう。今回の駆逐対象」


アヤト「お前が…？」


「うん。命令だから」


彼は一層眉間にしわをよせ悔しそうに、それでもどこか冷静を装おうと必死だったのが暗闇でもみえた


「映像で見たけど、黒ラビットもアヤトと同じ羽赫でねとっても綺麗だったんだ」


"思わず見とれちゃった"と場の雰囲気を明るくしようと試みたが彼は無言で目の焦点が合ってなかった


「アヤト？」


彼に近づいて顔を覗き込んだ


まぁでも彼の方が私より背が高くて背伸びをしても彼の目線には届かなかった


アヤト「っ！！近ぇよバカ！！！！！」


「った！！！！」


グイッと顔を下に押され少し痛くて顔を押さえた


「アヤトってさ、黒ラビット知ってんの？」


恐る恐る彼に聞くも目線を地面に下げ黙ってしまった


「？アヤト？」


アヤト「……知らねぇよ」


"俺帰るわ"と私に背中を向けてその場を立ち去ってしまった


遠のく彼の背中を見送ると


孤独と悲しみ、寂しさを感じた


「…まだ一緒にいたかったなぁ…」


ポツリとこの暗闇の工事現場で呟くも響くことはなく風に乗って消えてしまった


何を隠そう私は気づいてしまった


彼に対する感情を。


捜査官が喰種に想いを寄せている？


アキラさんが聞いたら卒倒しそうだ


この日はいつも通りに帰宅し、もう日付がかわっているためお昼からの捜査をしたが


彼と会うことはなかった

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