【ゴールデンカムイ】兵器な彼女【尾形百之助】 (ページ30)

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30話。ページ30

Aside

｢お前は死体に興奮する変態なのか？｣

ハッとして声のするほうを見ると、尾形上等兵がいた。

『尾形上等兵！』

入口にもたれかかって、腕を組んで見ている。
死体の数を数えていた。

｢これ、全部お前らがやったのか｣

『はい。杉元さんが腕を怪我しましたが、大事にはならなさそうです。』

｢...おっかねえな、お前ら｣

彼はまた、いつもの癖のように髪をなでつけてそう言った。

『なっ、私はただあなたの命令を守っただけでッ...！』

｢話は最後まで聞け。凶暴なお前が俺に従順で良かったってことだ。俺の部下はお前だけだ。俺はお前しか信用してない。｣

『あなたに私以外の部下ができたり、想い人ができてしまったら...私、殺してしまうかもしれない...絶対に隠してくださいね...』

｢大丈夫だ。お前以外にそんな相手はつくらねぇよ。｣

そう言うと、優しく頬を撫でてくれた。
彼の手に、私が殺した誰かの血が着く。こんな些細なことでも嫉妬するなんて、私っておかしいのかしら。

｢お前は殺人狂じゃない。それは俺もよく分かってる。殺すことに多少の躊躇いもあるはずだ。なのに、ここまで無慈悲にやることができるのはお前の強みだ。｣

『あなたのおかげです。あなたが私をこんな風にしたんです。...私は、あなたに憧れを持っていますから。』

｢...お前、今歳はいくつだ｣

『今年20になります』

｢お前みたいな若い娘がこんなおっさんに懐くなんてなァ...お前、変わってるよ｣

『尾形上等兵はおっさんじゃないです、ていうかまだ27じゃないですか。何がおっさんですか、鶴見中尉をおっさんて言うんですよ。』

彼は笑いながら、｢鶴見中尉に失礼だろ｣と言った。そんな常識持ち合わせていたのか。

ていうか、なんか...戦ったあとて、どうも興奮する。
行き場のないこの気持ちってどうすればいいんだ。