捻れた赤い糸【ツイステ】【ヤンデレ短編】 (ページ4)

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一旦の中断をしたものの、
作業は着々と進み、私の中では最高の出来映えとなって絵を完成させることができた。

自分の知るヴィル先輩…もとい、強くて美しいだけではなく、
ストイックだけど本当は優しくて面倒見の良い先輩を表すことができた。

先輩からも、

「へぇ…なかなかの出来じゃない。」

とのお言葉が！！

嬉しくてえへへ、と笑う私に先輩は問いかけた。

「本当に、次は私以外の誰かを描くつもりなの？」

…え、？

どうして急にその話を？

首を傾げようとした途端、

私の手は勝手に次の画用紙を取り出し、鉛筆を握りしめ、先輩の姿を描き始めた。

え、な、何これ。

手が鉛筆から離れない。

困惑しながら、先輩に助けを求めようと見上げたら、
先輩は満足した表情で微笑んでいた。

「…せ、せんぱ…い？」

その表情が、とても恐ろしく感じた。

今まで私に見せてこなかった表情だった。

「美しき華の毒(フェアレスト・ワン・オブ・オール)」

アタシのユニーク魔法よ、物質に呪いをかけられるの、

と先輩は自慢気に笑った。

…もしかして、私の画材にその魔法をかけた…？

「アンタの手はもう、一生アタシを描くことしかできないわ。」

「そんな、そんなの聞いてない…。」

「どちらにしろ、アンタには拒否権がないはずよ。」

だって、最初に『何でもする』って言ってたじゃない。

あ、と声が出た。

「アタシ、アンタと過ごす時間もその絵も気に入ったみたいなの。
毒薬の実験台にするには惜しいわ。」

だから、アンタの瞳に別の誰かが映ることは許さない。
永遠にアタシだけを描き続けなさい。

私の手はもう、花も林檎も描くことはできないようだ。

…そして、かつてのヴィル先輩の姿も。

優しかった先輩はまるで虚像だったみたい。

本当の先輩の姿に塗り潰されて儚く消えてしまった。

終わり