THIS CRAZY LOVE

指輪 ページ7

〜Aside〜

オフィスについて、デスクに座る。

仕事前にコーヒーを買ってきて飲みつつ、パソコンを開いた。

キーボードをいじっていて違和感。

あれ、何かない…？

でも、なんだろう。

「ん〜、眠い、」

「仕事場で眠そうにすんな〜」

後ろから藤ヶ谷に書類で叩かれた。

「いでっ。」

パッと眠気も覚めて、藤ヶ谷を睨みつけた。

「もお、急に叩くとか女の子にすることじゃないじゃんっ。」

「はいはい。文句言ってないで企画書の仕上げお願いしますよ〜」

プリントを何気なく受け取ると、藤ヶ谷が訝しげに尋ねてきた。

「なあ…お前指輪は？」

「え、指輪…？」

自分の左手の薬指を見ると…確かにない…！

どこで外したっけ…と頭を遡っていると、

「あっ…！！」

私が驚いたような反応をすると、藤ヶ谷の顔が一気に曇った。

「…どこやったの…？」

一瞬気づかれたか、と思ったけどそうではなさそうだった。

失くしたことに対しての心配…のようだった。

「家、かな。多分あるよ。大丈夫！」

私は微笑み返すけど、藤ヶ谷の表情は変わらず曇ったまんまだった。

「…見つかったら教えろよ。」

そういつもよりトーンの低い声で言って、藤ヶ谷は私のデスクから離れた。

「朝礼始めまーす！」

声がかかった。


終わったら宏光の家に行こう。


指輪を探さないと。


心のどこかを焦らせながら、私は仕事にかかった。

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