THIS CRAZY LOVE

拒否 ページ27

翌日、私は普通に会社に向かった。

社員証をかざして、エレベーターに乗り込む。

そこでスーツ姿の藤ヶ谷と一緒になった。

やっぱり、会社の中にいる藤ヶ谷の方が見慣れている。

「よ、おはよ。」

何事もなかったかのような挨拶に、私は若干気後れしながらも、

「おはよう。」

そう答えた。あまりにそっけない返しだったかもしれない。

「藤ヶ谷、今日の昼、ちょっと話しいい？」

首元の社員証を引っ張って耳元で言うと、いつも冷静な顔つきの藤ヶ谷が顔を赤く染めた。

見たことのない表情に、一瞬ドキッとしたけど…

知らないふりをした。


お昼休み、前のカフェテリアのテラス席に2人で座った。

私は片手にアイスコーヒー。藤ヶ谷はアイスティー。

「で、あの後何かあったってことだろ？」

アイスティーを飲みながら、藤ヶ谷は私を見つめて聞いた。

「…私ね、、」

一瞬言葉が詰まる。

でも、その詰まりさえも飲み込んで、私は口を開いた。

「私、宏光と幸せになりたい。」

私が言った言葉に、藤ヶ谷はハッとした顔をした。

鳩が豆鉄砲を食ったようって、まさにそれ。

「…離婚、ってこと？」

私は静かに頷いた。


「…嫌だよ。」


藤ヶ谷の冷たい声が、私の頭の中に響いた。



アイスコーヒーの氷が、溶け出していく。

私の心みたいに。

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