薄桜鬼〜地球儀の廻り〜第二章より

武勇伝ですよ ページ3

沖田さんが遅れてくると、やっと屯所から出れた。
江戸時代の京都を歩きながら、私は歳之に似てそうな女の人を捜す。

やっぱり、血筋や遺伝子の関係で顔は少なからず似るんじゃないかと思った。
だから、始めは歳之に似た人を捜す事にした。

でも、そんな人がすぐに見つかる事もなく・・

貴女「はぁ・・」

途方にくれていた。
いや、まぁまだ一日目だしそれ程、途方に暮れてるわけでもなくもない。
でも、どちらかと言うと暮れてるかな？

それに今気づいたら、私はまだ現代の制服姿で回りの視線を感じた。

沖田「ねぇ、Aちゃん・・」

貴女「なんですか？」

突然、沖田さんに声をかけられて私は沖田さんに視線を向けた。

沖田「あのさ、聞きたい事があるんだけど・・
その・・、Aちゃんの部屋にさ・・」

貴女「？」

沖田「その・・」

なかなかその次の言葉を言わない沖田さんに少し苛々してきた。
けど、じっとそれを待ちながら、次の言葉を待つ。

沖田「君の部屋に『新選組』って本あったよね？」

一瞬、何て応えようか言葉を詰らせた。
『あった』と言うのは簡単だが、その後、沖田さんになんて聞かれるだろう。

貴女「ありましたね。」

沖田「それってどんな事が書かれてるの？」

私は更に言葉を詰らす。
言わないほうが多分いいんだと思う。

もし、沖田さんは聞いたらどうするつもりなんだろう？

貴女「新選組の武勇伝が書かれてるんですよ。」

沖田「・・・そうなんだ。」

だが、私はいい所だけを考えてそう言っておいた。

沖田「他にはどんな・・」

貴女「あぁ！！桝屋だ！！！
あそこって長州の古高が武器とか隠してるところでしょう！？
生で見たの初めてだ！！」

沖田「ちょ、ちょっとAちゃん静かに！！」

つい、本で見たことのある場所だったからそう叫んでしまう。

不味い、と思い咄嗟に自分の口を押さえようとした。
が、それより速く誰かに口を塞がれた。

貴女「んん！？」

沖田「Aちゃん！！」

口を塞がれながら体を引っ張られ人混みに紛らされて見る見る沖田さんと離れていってしまう。

逃げようと暴れた時には私が言ったあの『桝屋』の奥の部屋に連れて行かれていた。

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