【企画小説】かくれおに (ページ3)

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第3話【不知火蒼杜】ページ3

「始まったのかな？あの視聴者参加型番組」

周りで寝ている人を起こさない様に、欠伸を噛み殺しながらポツリと呟く。

50人位？の人(この部屋には男性しか居ない……のかな？)と人数分のベット。無機質な灰色の壁。

ちらほらと起きている人も居るが、まだ現実味が無い様でキョロキョロ辺りを見回している。

多分もう此処は会場の島なんだろう。

眼が覚めた時、何時もの風景と違ったので少し驚いた。

兎に角、先ずは状況を把握______持ち物の確認をしなければ。

……あぁ。やっぱり携帯は駄目ですか。仮にあったとしても、どうせ圏外でしょうけど。

えーと他には……?______

＿＿＿何も無いですね。見事なまでに。

身に着けている服以外、何も無い。

溜息を吐きつつ、前髪を髪を掻き上げる。と、手に硬い感触。

「ん？_____ヘアピン……取られなかったんですか」

髪から外し、銀色に輝く其れをまじまじと見つめる。

何処も折れたりヒビが入っていたりはしない。後々、役に立つ…かな？

良く良く見れば、蒼と白のマフラーも巻きっぱなしだ。

かなりの長さがあるし、此れは何かあった時止血にでも使えますね。

落ちないようしっかりと髪と首に着け直す。

「そう言えば……緋影は大丈夫ですかねぇ……」

お揃いのヘアピンとマフラーを見て思い出した。

確か、『見分けが付かない』と言われて名前の通り、赤と青のを買ったんだっけ。

何も同じ物にしなくても良かったのに。

あの子の依存癖は異常だ。其れに生活能力も皆無だし。人の好き嫌いは激しいし、話は聞かないし……

……心配要因しか無いんですが。一ヶ月、生きて帰った時に、家で死んでたら如何しましょう……？

頭を抱え、『はぁ』と溜息をついて立ち上がる。

此処で考えていても仕方ない。気分転換も兼ねて、周りを散策してみるか。

そう考えて部屋を出た。

_________否、出ようとした。

「…え？______っうわ」

『ガンッッ！』

ドアの手前で、何かに足を取られて転んだ。と言うより、文字通り誰かに足を掴まれて。

見ず知らずの人ばかりの中なのに一体誰が……？

……考えるまでも無かった。僕にこんな事をするのは一人しか知らないし、居ない。

でも、まさか此れも当選していたとは。

全力で床に打ち付けた額を抑えつつ、何とか立ち上がる。

「…痛………いい加減にしなさい。緋影！」

振り返って、僕の服を掴んだままケラケラと笑っている愚弟を睨みつけた。