6.家の場所 ページ8
「骨に異常はないらしい。けど、少し筋を痛めてるらしいから運動は禁止。基本安静に」
「……はい」
あれから、メイドさんがぞろぞろと客室にやって来て、手早く診察を済ませ、手際よく包帯を巻いてくれた。
本当に惚れ惚れする程の手際の良さで、私は終始唖然としてしまっていた。
特に無駄な会話をすることも無く、「安静にして下さい」とだけ私に伝えたメイドさん達は、そそくさと部屋を出ていってしまったーーのだが。
それと入れ違いになるように、人外の彼が客室にやって来て、開口一番そう言ったのだ。
「……さて、手当も済んだし……家まで送る。家はどこにある？」
「家は……」
反射的に答えようとして、出かけた言葉をぐっと飲み込む。
(……答えちゃダメだ……！)
ここで「人間の村です」なんて言ってしまえば、私が人間側の存在であることがバレてしまう。
最悪、純血であることすらもバレてしまうかもしれない。
(それだけは、絶対に避けないと)
かといって、どう答えればいいのだろう。
適当な場所を言う？
ううん、そんなのすぐにバレてしまう。
それに、箱入り娘だった私に村の外の地理なんて分かるはずがない。
……じゃあ、どうすればーー
「……聞いてるか？」
「え、あっ！？ はい！」
ただならぬ私の様子に気付いたのか、彼は翡翠の瞳を細めて訝しげな表情になる。
(どうしよう……)
そっと逸らした視線と、胸の前で強く握り締めた手。
もうどうしようもない、と、諦めかけた、その時ーー
「……旦那様、ご友人様がいらっしゃいました」
部屋の外から、メイドさんのそんな声が響いた。
目の前の彼が一瞬だけ目を見開き、すぐに呆れの表情に変わってため息を吐く。
「悪い、少し友人を出迎えてくる」
「は、はい……」
身を翻し、客室を出ていった人外の彼。
ドアが完全に閉まるのを見届けて、私は勢いよく背中からベッドへダイブした。
「あっ、ぶなかった……」
あのまま詰め寄られていたら、きっと私は人間の村出身だと吐いていただろう。
(本当に、危なかった……)
心の中で、見たこともない彼の友人に小さく感謝して、私はこれからのことに考えを巡らせた。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2019年12月11日 1時) (
レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 人外の作品大好きです！これからも更新無理のない程度で頑張ってください！ (2019年8月11日 21時) (レス) id: 9386fcb447 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うわ…坂田さん可愛い…志麻さんどこいった…好きやわ…人外もんはいいゾ〜 (2019年7月6日 17時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
風空 - 吸血鬼もの大好きです！また毎日の楽しみが増えました(*´ω｀*)更新楽しみに待ってます！自分のペースで頑張ってください！ (2019年5月27日 22時) (レス) id: 7d8b5dcb68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏れもん | 作成日時：2019年5月26日 20時
