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14.暴かないで ページ17

「まったく、うらさんは心配性過ぎやねんなー」



どこか不満げな表情の青年は、私が身体を起こしているベッドの隣にあった椅子にストンと腰を下ろし。


その表情をころりと、楽しそうな笑顔へと変化させた。



「俺、さかた! うらさんの屋敷に居候中!」



うらたさんが呼んでいた通り、彼の名前は「さかた」というらしい。



「……さかた、さん?」


「うん!」



口の中でもごもごとその名を呼ぶと、さかたさんは嬉しそうにふわっと笑った。



(……不思議)



さかたさんの笑顔を見ると、強ばっていた心が落ち着くような気がする。


そっと、解された心で微かに笑った。



「私はA、です」



人外の屋敷に居候している以上、少なくともさかたさんも人間側の者ではないだろう。


こんなに不用心に名前を教えるのはおかしいのかもしれない。


でも、なんとなく。


……さかたさんは、悪い人じゃない気がした。



「A! A、やな!」


「はい」



嬉しそうに脚をパタパタさせるさかたさんを見ていると、警戒心はさらに薄れていく。


どうしてうらたさんはあんなに警戒していたんだろう。



「Aは、どうしてこの屋敷におるん?」



ぼんやりとさっきの出来事を回想していると、さかたさんが不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。



(どうして、か……)



私は一応記憶喪失ということになっている。


ボロだけは出さないようにしないといけない。



「……気が付くと、森の中で足を怪我していたんです。歩けなかった所に、うらたさんが来てくださって……治療のために、ここに来ました」



私の答えに一瞬、さかたさんの表情が顰められる。


初めて見た、さかたさんのマイナスな表情だった。



「気が付くと、って……まさか、その前のこと覚えてないん?」


「……はい、覚えてません。家の場所も分からないので、記憶が戻るまでここに居ていいことになりました」



さかたさんは、「そっか」とぼそりと呟く。


少しの沈黙が落ちて、居心地の悪さが辺りを漂う。


私は慌てて言葉を付け足した。



「私は大丈夫、ですよ。思い出せないのは怖いけど……とにかく、大丈夫です」



嘘だらけの言葉にチクチクと痛む胸。


「大丈夫」なんて嘘だ。


「思い出せない」なんて嘘だ。


その嘘に笑顔を見せてくれるさかたさんに、私の胸中は罪悪感ばかりで。


けれど、



(……ごめんなさい)



私がここを去るまで、この嘘は暴かないで。

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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2019年12月11日 1時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 人外の作品大好きです!これからも更新無理のない程度で頑張ってください! (2019年8月11日 21時) (レス) id: 9386fcb447 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うわ…坂田さん可愛い…志麻さんどこいった…好きやわ…人外もんはいいゾ〜 (2019年7月6日 17時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
風空 - 吸血鬼もの大好きです!また毎日の楽しみが増えました(*´ω`*)更新楽しみに待ってます!自分のペースで頑張ってください! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 7d8b5dcb68 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘夏れもん | 作成日時:2019年5月26日 20時

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