13.翠玉の不安 ページ16
「あ、うらさん」
事も無げにうらたさんのことを愛称で呼ぶ彼は、一体何者なのだろう。
確かさっき、うらたさんが「さかた」と呼んでいたような気がする。
「『あ、うらさん』じゃねぇんだよ！客が来てるって言った瞬間に部屋飛び出しやがって！」
余程フランクな間柄なのか、うらたさんの口調も私に対してのものより随分砕けている。
怒りを顕にしているうらたさんの様子にも怖気ず、さかたと呼ばれた青年はケラケラと笑っていた。
「だって、うらさんがセンラ以外のお客さん招くの珍しいやん。気になって会いに来てん」
「会うのはいいとしても、迷惑かけるなよ、って言ったよな？思いっ切り困惑させてるよな？せめてノックして名乗って入れよ！片っ端から客室開けてんじゃねぇよ！」
随分と饒舌になったうらたさんの様子に苦笑しながら、私は小さく呟く。
「あ、私は……大丈夫、です、ので」
ハッとしたようにこちらに視線をやったうらたさんは、申し訳なさそうに瞳を伏せていた。
「悪い、このアホが失礼なことして。すぐに連れ出すからーー」
「えー！俺もっとこの人と話したいねんけど！」
「うるせぇ！」
またぎゃあぎゃあと争い始めたお二人を、私は両手をあわあわさせながら諌める。
けど、なかなか止まらない。
砕けた間柄の争いを止めるには生半可な言葉じゃダメなのだから当然だ。
……とか、思ってたら。
「だ、大丈夫ですよ、お話！」
その言葉を発した瞬間、ピタリと争いが止み、場は静寂に包まれた。
くるっと赤髪の青年の顔がこちらを向き、紅玉の瞳が私をしっかりと射止める。
「本当！？」
きらきら笑顔に眩しさすら感じつつも、私は「はい」と答える。
「この足ですし……できることもやることもなくて暇してたんです。もし良かったら、お話し相手になって下さいませんか？」
二人につられてか、私も心なしか饒舌になっているような気がする。
うらたさんのぱちくりとした表情がその証だった。
その表情は心配そうに顰められ、視線が宙を泳ぐ。
「うらたさん、私は大丈夫、です」
「大丈夫」の意味は自分でもよく分からなかったけれど。
その言葉を聞いたうらたさんは、少しの間の後にため息をつき。
「……不安だから一応部屋の外で待つ。何かあったら呼んでくれ」
警戒されている事実にぷく、と頬を膨らませる青年。
私がこくんと頷いたのを確認して、うらたさんは部屋を出ていった。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2019年12月11日 1時) (
レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 人外の作品大好きです！これからも更新無理のない程度で頑張ってください！ (2019年8月11日 21時) (レス) id: 9386fcb447 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うわ…坂田さん可愛い…志麻さんどこいった…好きやわ…人外もんはいいゾ〜 (2019年7月6日 17時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
風空 - 吸血鬼もの大好きです！また毎日の楽しみが増えました(*´ω｀*)更新楽しみに待ってます！自分のペースで頑張ってください！ (2019年5月27日 22時) (レス) id: 7d8b5dcb68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏れもん | 作成日時：2019年5月26日 20時
