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9.朝食 ページ12

ちゅんちゅんと、小鳥のさえずりが聞こえる。


手先から、足先から、徐々に現実へと引き戻されるような。


柔らかな微睡みが少しずつ薄れていく感覚。


眠りの薄皮を引き剥がされ、意識が空気に触れる。



「……ん、ふ、ぁぁ……」



ぼんやりとした意識の中、身体を包む温もりから抜け出した私は、まだ完全には開かない目をゴシゴシと擦りながら上体を起こした。


「起きた」ことで少しずつ覚醒し始める五感。


まず初めに感じたのは、足首の鈍痛だった。



(……確か私、昨日森で怪我して、それで……)



蘇ってきた記憶の欠片を結びつけて、少しずつ昨日のことを思い出す。



(人外の方に見つかって、屋敷に連れてこられて……)



そうだ、私はーー



「ここ、居てもいいってことになったんだっけ……」



あれから私は、「記憶が戻るまで」を条件にここに居ることを許された。


私からすれば、「記憶が戻る」というのは「足が治る」というのと同意義なのだけれど。


足さえ治れば、ここから出ていけるのだ。


危険だらけの、このお屋敷から。



「ふわぁ……」



欠伸をかみ締め、涙を浮かべていると。


コンコンッ、と、低いノック音が響く。



「は、はい!」



少し上擦った声で返事をすると、部屋の外から届いたのは女性の声だった。



「朝食をお持ちしました。いかがされますか?」


「あ、た、食べます、ありがとうございます」



緊張からか食い気味になりつつも、昨日程しどろもどろではない声で返事をすると、「失礼します」という声と共にドアが開いた。


そこに居たのは、昨日エントランスで私を迎えたあの人。


涼やかでクールな表情と、見に纏った給仕服のシルエットが相まって、まるでそこにいるだけで大人の冷静さを醸し出しているかのようで。


借りた部屋着でベッドに上体を起こしている自分が恥ずかしくなった。


……部屋着も、とても高価そうなものをお借りしてるけど。



「しばらくしたらまた食器を回収しに参ります。どうぞごゆっくり」


「は……い」



優雅に一礼した彼女は、そのまま部屋を出ていってしまった。


サイドテーブルの上に置かれた、シンプルだけど豪華な朝食。


私はそれに手を伸ばし、小さく「いただきます」を呟いて口を付けた。


……よくよく考えれば、人外の方々に出された食事を躊躇い無く食べるのもどうかと思うけれど、仕方ない。


昨日から何も食べていない私の体が、悲鳴をあげていたから。

10.警告→←ー翡翠の苦慮ー



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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2019年12月11日 1時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 人外の作品大好きです!これからも更新無理のない程度で頑張ってください! (2019年8月11日 21時) (レス) id: 9386fcb447 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うわ…坂田さん可愛い…志麻さんどこいった…好きやわ…人外もんはいいゾ〜 (2019年7月6日 17時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
風空 - 吸血鬼もの大好きです!また毎日の楽しみが増えました(*´ω`*)更新楽しみに待ってます!自分のペースで頑張ってください! (2019年5月27日 22時) (レス) id: 7d8b5dcb68 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘夏れもん | 作成日時:2019年5月26日 20時

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