出会いその2 ページ8
中3の春のことだった。
その日は始業式で、俺は憂鬱な気持ちで学校に着いた。
特別仲のいい友だちもいなかった俺にとってはクラス替えをやる意味が分からなかった。
だから関係ないと思い、昇降口に貼られているクラス替えの表も、自分のクラスを確認しただけでろくに見もしなかった。
まあクラスに行ったら話したことこそ無けれど、見たことある奴は何人かいたが。
「...〜です。趣味はゲームすることです。よろしくお願いします」
軽い自己紹介を終え、静かに席に着く。
俺はこの時間が嫌いだった。
なんなんだよ自己紹介って。誰が俺のことを知って得する?何かの役に経つのか?
少なくとも俺は周りの人間のことを知ったところで得をしないし、役に立つこともない。
せいぜい今までみたいにいじめられたり、目をつけられたりしなきゃいいな、くらいだったんだ。
『ねぇねぇ!』
自己紹介が終わり、始業式、SHRも終えて下校の準備をしていた時、いきなり明るい声に話しかけられた。
始業式だったために配られた新しい教科書類をどう鞄に入れるか悩み中で、いつもなら無愛想に返すはずの返事も素面で返してしまった。
「なにー?」
『あ、えっと下校準備中ごめんね!君さっきさ、自己紹介の時に趣味がゲームって言ってたよね?』
「え?...あぁ、言ったかも」
教科書と格闘していた俺は、やっとそこで顔を上げた。
俺のその場凌ぎの適当な自己紹介なんぞ聞いている人間がいたのかという驚きと、声の高さ的に判断して何故女子がわざわざ俺にゲームの話を振ってくるのかという疑問からだった。
つか俺無意識に趣味がゲームとか言ってたのか。好きすぎるだろ。
『言ったかも、じゃなくて言ってたよw私もすっごいゲーム好きなんだけどさ、女の子たちじゃ話合わなくてさぁ、君なら話合うかなーって思って』
そう目をキラキラさせて話す『そいつ』は、何回も見たことがあった。
...そうだ、シルクロードとか呼ばれてるヤンキーみてぇなのとよくつるんでる奴だ。
ヤンキーとつるんでるんじゃ大概こいつもそうなんだろうと思い、関わらないことに決めた。
「俺、別にあんたに興味ないから。じゃ」
そう言って適当に教科書を詰め込むと、足早に教室を後にした。
「早く帰ってゲームしよ...」
これが俺、ダーマと『そいつ』___茜との出会い。
まあ次の日からもがっつり絡まれて結局こっちが折れて話すようになるんだが、それはまたの機会に。
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チョコザイ(プロフ) - おもしろい (2018年7月28日 16時) (レス) id: 613124173f (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» おう!考えて考えて((┌|o^▽^o|┘))♪ (2018年5月8日 1時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
よつ葉@YouTube命。(プロフ) - Alice:Aさん» 了解!考えるねヽ(・∀・) (2018年5月7日 15時) (レス) id: 99a9981eb6 (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» 楽しみにしてて!願わくばリクエストををを!!(図太い) (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - りんごおさん» 見てくれるだけで充分だよー!4章楽しみにしてて! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Alice:A | 作成日時:2018年2月7日 22時