救出作戦と覚悟その3 ページ34
真実の眉がぴくりと動いた。
大きく眼が開かれ___
ナイフが真横に引かれた。
「楽しいか、だって!?あぁ楽しいねぇ!!何もなかった私が今はっきりと存在している!私が私として生きている!!復讐なんてくだらないと思うか!?つまらないと思うか!?私は思わない!復讐こそが最も悲劇的で私の心を表すのに最適だ!
...いいか、この復讐はな、
私がお前を、お前らを二度と立ち上がれないほどに壊して私という存在を刻みつけるためのものだ。
だから、私の心に残っていた初恋...モトキくん、君を誘拐した。そして君を殺し...茜を立ち上がれなくさせて、心の拠り所のフィッシャーズというものを崩壊させる。
それが私の復讐の全てだから」
頭が殴られたような衝撃。
自然と呼吸が荒くなる。
モトキを殺す?
フィッシャーズを崩壊させる?
何言ってんの?待てよ、そんなの違う。
違う。違うだろ。
『違う』
「は?何が?仲間とか友情とかそんなものなら聞きたくないんだけど」
『違う!』
何が?なにが?ナニガ?
全て。何もかも。
落ち着け。...大丈夫。
『...違う。真実が言いたいのはそんなことじゃないだろ』
「はぁ?今言ったことは私の全て。何もかも奪ったお前から今度は私が奪う番」
『違う。存在を認めてもらいたかったのは本当かもしれない。でも、モトキを殺すってくだり...それは嘘だよね』
「嘘じゃない。なんなら今ここで殺してみせようか?」
違う。
じゃあなんで
そんなに辛そうなの?苦しそうなの?
『嘘だ。だって、私が来るまでにモトキが殺されていた方が私たちの絶望は大きかった。それにわざわざ姿を現さなくてもいつでも殺せたはず。なのに敢えて殺さなかった。それは』
「黙れ!」
悲鳴にも似た怒鳴り声に、思わず口を噤む。
「お前は私じゃない!私はお前じゃない!なのにお前のフリをして、お前の人生を歩んだ!初めから私なんていなかった!お前私と入れ替わる度に言ってたよな、『帰ってきたらたくさん話しようね』って!なのに!!
...いつから?
どんどん先に進んで、どんどん離れていって、どんどん友だちや仲間作って置いてけぼりにしたのは。
薄情、裏切り者、嘘つき、偽善者。
お前にはその言葉がお似合いだよ」
何も言えなかった。
その通りだった。
何か言えるわけもなかった。
何か言う資格もなかった。
辛い思いは同じだったはずなのに。
突き放したのは、私だった。
159人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チョコザイ(プロフ) - おもしろい (2018年7月28日 16時) (レス) id: 613124173f (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» おう!考えて考えて((┌|o^▽^o|┘))♪ (2018年5月8日 1時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
よつ葉@YouTube命。(プロフ) - Alice:Aさん» 了解!考えるねヽ(・∀・) (2018年5月7日 15時) (レス) id: 99a9981eb6 (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» 楽しみにしてて!願わくばリクエストををを!!(図太い) (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - りんごおさん» 見てくれるだけで充分だよー!4章楽しみにしてて! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Alice:A | 作成日時:2018年2月7日 22時