救出作戦と覚悟その2 ページ33
モトキSide
「そ、そんなこと、ない...」
俺の一言は、確実に彼女の心を揺さぶったはずだ。声が、震えている。
モトキ「...本当にそんなことなかったらそこまで動揺しないよね?」
「っ...」
モトキ「戸籍もなく、姉の替え玉のような日々だった幼少生活...誰にも認めてもらえない、見てもらえない、曖昧な存在...それを、当時幾巴もいかない君が容易く受け入れていたとは思えない。
...だからこそ、自分の存在を誰かに認めてもらいたかった。違う?」
「ち、ちがっ...」
明らかに狼狽してる。
多分、俺の予測は合っていたんだろう。
でも。
ここから先は、俺は踏み込めない。
俺はあくまで他人。
当事者にしか飲み込めないものがあるはずだから。
「あー...黙れよ...何も知らねぇくせに...お前もあいつも、犯罪者だ...」
彼女が顔をあげた。
先ほどまでの、狼狽えた様子ではなかった。もう、光はなかった。
...俺は何か、地雷を踏み抜いてしまったのだろうか。
今までとは明らかに違う、「てめぇこのまま殺すぞ」というオーラがひしひしと伝わってくる。
俺を本気で殺そうとしてる。
ゆらり。
彼女が、右手を持ち上げた。
その手には、刃が暗く光るナイフ。
___死んだ。
直感的にそう思った。
そう思ってしまった。
刹那。
『やめろぉおおおおっ!!!』
勢いよく開かれた扉と、それと共に聞き慣れた声が飛び込んできた。
俺と彼女が同時に振り向く。
そこには...
モトキ「茜!!」
茜がいた。
『...真実』
発せられる声は今までになく真剣で、
そしてとても哀しかった。
「茜...久しぶりだね」
『本当に久しぶり。最後に会ってから何年経ったかな?』
「さぁ...?まあ何年だっていいよ。思ったより早かったね」
『うちのメンバーたちが総力を挙げて頑張ってくれたんでね』
対峙した2人は、背筋が凍るほどに穏やかだった。淡々としていた。
それが表面的なものでしかないことは目で見ずとも分かった。
『それで早速なんだけど...
うちのモトキくん返してもらっていいかな?』
「えーやだって言ったら?」
『それは困るなぁ』
「自分勝手〜」
『自覚してる〜』
延々とこの地獄のようないたたまれない空気が続くのかな...と思った、
直後。
『ねぇ...
こんなことして楽しい?』
茜のその言葉が、空気を引き裂いた。
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チョコザイ(プロフ) - おもしろい (2018年7月28日 16時) (レス) id: 613124173f (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» おう!考えて考えて((┌|o^▽^o|┘))♪ (2018年5月8日 1時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
よつ葉@YouTube命。(プロフ) - Alice:Aさん» 了解!考えるねヽ(・∀・) (2018年5月7日 15時) (レス) id: 99a9981eb6 (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - よつ葉@YouTube命。さん» 楽しみにしてて!願わくばリクエストををを!!(図太い) (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
Alice:A(プロフ) - りんごおさん» 見てくれるだけで充分だよー!4章楽しみにしてて! (2018年5月6日 22時) (レス) id: 0101dbf24c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Alice:A | 作成日時:2018年2月7日 22時