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31つ目の仮面 ページ34

「…私も、斎宮先輩と同じ意見だよ。


ちょっと、甘いよ。


もっと、叱ってよ。
もっと、怒ってよ。
一発殴るくらい、ちゃんと怒らないと、駄目だよ。


こんなにたくさんの人に迷惑かけて、たくさん傷つけてきたのに、罰せられないなんておかしいよ…!」




俺は、目を見開いた。


多分、俺だけじゃなかったと思う。

この場にいるみんなが、驚いたんじゃないかな。



『…姫…?』



そんな風に訴えてきたのは、俺の妹であり、今回の、いやずっと俺を苦しめてきた加害者、姫本人だったからだ。



「…私が、両親に、話します。


自分から。ちゃんと、謝りたい。

だから、その映像を、使わせてください。」



目元がまだ赤くて、今も既に涙目で、だけど、目は本気だった。



『…いい、のか?だって…そんなこと、したら…』



「…怒られると思う。

拒絶、されるかもしれない。



でも、私がやったことに、変わりはないから。



悪いことしたら、ちゃんと、ごめんなさいしないといけないって、お兄ちゃんが教えてくれたんだよ。」




……嫌われることは、つらい。


見てもらえないことは、つらい。


認めてもらえないことは、つらい。


拒絶されることは、つらい。




だから、そのつらさをみんなが感じる必要はないと。
みんなに笑顔になってほしいと、そう思ったんだ。




まさか、自分から辛い道を行くだなんて思ってなかった。


あの姫が、自分から困難な方を選ぶとは、思ってなかった。





『…そっ、か。



……ははっ、お兄ちゃんの知らないうちに、お前はどんどん変わってるな。


悪い意味でも、いい意味でも。



これからは、いい意味でだけ、変わって行ってくれ。』



俺は、笑顔で頭を撫でることしかできなかった。

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そぬん - 涙が止まらなかったです…。五奇人が笑顔でライブをするというのを空想上ではありますが見れて、良かったです。最高のエンドでした!! (2020年7月17日 0時) (レス) id: 5ad600b11d (このIDを非表示/違反報告)
sakurasaku(プロフ) - あ、あれ……。おかしいな……。最後辺り読んでから目から塩水が止まんねぇ……。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: e53f230869 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 今更ながらコメントして申し訳ありません。感動しました。奇人…夏目…いいですね…でも1番の推しはこの小説の主人公くんですね…素敵な小説をありがとうございます。 (2019年11月25日 21時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - まだ7つ目ですがスバルくんの発言に思わず吹き出してしまいました。今から続き読みます! (2019年1月10日 0時) (レス) id: 69cadf1e76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうくんのストーカーのストーカー - ニックネームあれですけど私も夏目最推しです!(漢字あってますかね?)最近夏目多くないですか?私無課金なので、凄くキツイです...最後まで読ませていただきました!とても面白かったです! (2018年3月27日 10時) (レス) id: c392d9b03c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Satori | 作成日時:2017年8月2日 17時

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