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三十五日目 ページ36

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「包丁くん」


声を掛けると、小さな肩がビクリと跳ねた。



「もう、謝らなくてもいいよ」


「でもっ……俺、最低なことして……」


「じゃあ、まんばちゃんにもう一回、きちんと謝ろうか。目を見て、ごめんなさいって心から謝るの。出来るよね?」


「……うんっ!」




優しく諭すように語り掛けると、彼は袖で涙を拭ってまんばちゃんに向き直った。まんばちゃんもしっかりと包丁くんを見つめている。



「山姥切、ごめんなさいっ!」


「まんばちゃん」


私からもごめんねと言うように頭を下げれば、存外優しい声色が降ってくる。




「もう、いい。素直に言ってくれて助かった。ありがとう」


まんばちゃんが「ありがとう」なんて言うのは珍しい。それは彼が包丁くんの事を心から許したからに違いない。



無事に和解出来たのだろう。



二人は未だ涙目ながらも険悪になることはなく、まんばちゃんは包丁くんの頭を撫でていた。まるで兄と弟のようなその姿は、何とも微笑ましい。



私はそんな二人を外野から思いきり抱き締めた。




「ふふ。さぁ、二人とも涙拭いて! 朝餉に間に合わなくなっちゃうよ!」

「主!」

「主さん!」



私の部屋を包む二人分の桜吹雪。


みんなで笑い合いながら、朝餉に遅れないように支度をした。

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華骸(プロフ) - 小豆☆抹茶さん» コメントありがとうございます! 分かってくれますか、まんばちゃんの可愛さを! 同士ですね(о´∀`о) これからもたくさんまんばちゃんを愛でていきましょう!! (2017年3月22日 21時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
小豆☆抹茶 - まんばちゃんの愛らしさ…凄く分かります!私も、初期刀まんばちゃんです!まんばちゃんです!!!!!! (2017年3月21日 18時) (レス) id: 62f8b9fffc (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 亜乃歌さん» コメントありがとうございます! やはりまんばちゃんですよね! みな、違った可愛さが有りますが、まんばちゃんは放っておけないタイプだと私は思います(笑) 読んでくださりありがとうございました!(ノ´∀`*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
華骸(プロフ) - 沖田凛和さん» コメントありがとうございます! これは私の妄想の小説になりますが、実際にこんな感じだと可愛いですよね! と言うか、まんばちゃんの全部が可愛いですよね(*≧∀≦*) (2017年1月26日 18時) (レス) id: 31ae3f7e34 (このIDを非表示/違反報告)
亜乃歌(プロフ) - めっちゃ面白かったです!ちなみに私も初期刀まんばです(´▽`*) (2017年1月25日 21時) (レス) id: a5d27731cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華骸 | 作成日時:2016年9月24日 21時

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