二人の気持ち 5〜桃太郎side〜 ページ46
目を伏せた香桃葉さんを見て、俺はどうしたらいいのかわからなかった。
『桃太郎さん。』
オロオロしている俺に真っ直ぐな目をした香桃葉さんが声をかけた。
「はい。あ、すみません、さっきのは出しゃばってしまって…。」
『いえ、いいんです。言われてはっきりしました。私、白澤様のこと好きです。』
「…そう…ですか。」
彼女から気持ちを聞いて、俺はお店で悶々としている白澤さんを思い出した。このこと知ったら死ぬほど喜ぶんだろうなぁ。
『でも、諦めます。』
…え?諦める…?
「…え!?ちょ、ちょっと待ってください。なんで諦めるんですか!?」
『私にとっては白澤様は特別な存在です。しかし、あの方にとって私は数多くいる女性の一人でしかありません。鬼灯様がおっしゃっていたように、今この段階で諦めるのが得策だと思います。』
「いやいや…確かに白澤様は女好きですけど、わからないじゃないですか。」
必死に食い止めようとするものの、彼女の意思は固い。
『…ダメなんです。私、一途な人が好きなんです。自分以外の女性と一緒にいるところとか見た暁には悲しさで死んでしまいます。』
…そこまで言われたらもう白澤様に変わってもらうくらいしかない。
「…しばらく様子見てみたらどうですか?」
『様子って?』
「香桃葉さんが諦めるのをです。なにも急に諦める必要は無いと思います。白澤様と会った時やそれ以外の時でも、他にいい方がいればその人を好きになればいいし、どうしても白澤様が好きならその想いを貫けばいいと思います。」
『…苦しくないですか?好きになるのって。』
この人は、恋愛に対して鈍感なだけじゃなく臆病なんだ。
「苦しいと思いますよ。だから、苦しい時は俺や他の人でもいいんです、頼ったらいいじゃないですか。」
自分でもびっくりするほど真面目なことを言ってしまった。
『…分かりました。ありがとうございます、桃太郎さん。』
「いえいえ。さ、早くしないと冷めてしまいます、いただきましょう。」
ーこうして俺は香桃葉さんと食事を楽しんだー
好きとは〜主人公side〜→←二人の気持ち 4〜桃太郎side〜
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恋歌(プロフ) - これからも頑張ってください!!!応援してます! (2019年3月25日 9時) (レス) id: 51f8eec8e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:香桃葉 | 作成日時:2018年8月22日 18時