新米補佐官と白澤様【鬼灯の冷徹】 (ページ18)

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鬼灯様とデート 2 ページ18

その日の夜、香桃葉は自分の部屋で悩んでいた。

『デートですから(キリッ)。って言われても…。はぁ…とりあえず服装考えないと…。なに着ていけばいいんだろう…。』

そう言いながらタンスの中をゴソゴソとあさる。

『仕事中なら藍の着物着てたらいいから楽なのになぁ…』

彼女が仕事着として身にまとっているのは肌襦袢が藤色で、足元や袂の方にあやめが刺繍されている藍色の着物である。

『う～ん…本当のデートならこういう服がいいんだろうけど…言ってみればデート(仮)だもんなぁ…』

そういって眺めるのはすもも色の可愛らしい着物。

『いやでも、こんなの着ていったら鬼灯様にいじられそう…。でも私仕事着と寝間着以外だとこれしか服ないし…。かといって仕事着で行くと怒られるだろうし…』

こうして悩みに悩んだ末、すもも色の着物を着て行くことにしたのであった。

ー次の日ー

「…遅い」

集合時刻を10分過ぎても香桃葉がこない。
鬼灯は眉間にしわを寄せながら待っていた。
すると、遠くから小走りしている女性…香桃葉が来た。

『はぁ…はぁ…。すみません、寝坊してしまいまして…』

「いえ、大丈夫ですよ。25分ほど待ちましたが。」

『すみません…』

謝りながら、髪や服の乱れを直す香桃葉。

「そういえば、いつもと違う雰囲気ですね。」

『あ、はい。鬼灯様がデートとおっしゃっていたのでデートっぽくしてみました。』

どうですか？と言う香桃葉。

「いいですね、とってもお似合いだと思います。貴女は…」

そう言いながら彼女をまじまじと見る。

「まぁいいです。行きましょう。」

鬼灯はそう言って歩き出した。

『え⁉言ってくれないんですか⁉』

香桃葉も遅れないように鬼灯について行く。

「忘れました。」

『絶対嘘でしょ…それ…』

冷たくあしらいながらも香桃葉に歩幅を合わせてくれる鬼灯に、香桃葉は疑問を持った。

『そういえば、鬼灯様って彼女とか奥さんとかいらっしゃらないんですか？』

「いたら貴女とデートなんてしないです。」

『あ、たしかに。』

「それに」

鬼灯が立ち止まったので彼の左側を歩いていた香桃葉も立ち止まる。

「貴女と出会ってからは、他の女性とどうかなりたいとは思わなくなりました。」

ーそう言い放つと鬼灯はまた歩き出したー