知らないは知っている (ページ14)

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皆と違うページ14

カチャ

　あの後、私は部屋に戻ってきた。

　頭が冴えてしまって寝れない。
　このまま勉強しよっかな。

　ガサガサ

　数学の教科書を出して解き始めた。

　…でも、頭に入ってこない。

　皆は、凄いな。
　頭が良いとか、かっこいいからって言うわけじゃない。
　努力が出来るところや人として良いことが出来ることが、本当に凄いと思う。

　だからなのかな。
　ふとした時に、皆と一緒に、居ていいのかなって
居ていい人間なのかなって思っちゃう。

　皆が凄いと、私は出来ない人。
　出来ない人が、出来る人と居れば、必ず良い目では見られない。

　だから、私は皆と胸を張って一緒に居られない。
　いじめが怖いから。

　あーあ。私は、弱いな。
　朝は、あんなに頑張ろうと思ってたのに、一気に辛くなっちゃった。

　人間関係だって、必要ないって嘘ついて逃げてるだけ。

　でも、こんな気持ちは皆には、悟らせない。
　どんなに顔に出やすくても、何があっても絶対に、私の力で解決する。

　私のただ一つの我儘を許してくれますか?

　皆と一緒に居るために、自分の事くらい一人で出来るようになるんだ。

　だから、今は一緒に笑って過ごしたい。

　コンッコンッ

　はっ。
　誰か来た。

彩「はい。」

小「小塚です。アーヤ、扉開けてもいい?」

　珍しい。
　小塚君は、こんな夜に訪ねてくる人じゃないのにな。

彩「うん。いいよ。」

小「ありがとう。」

　カチャ

　小塚君は、手にコップを持って立っていた。

彩「どうしたの?」

小「もう午前二時なのに、アーヤの部屋から、光
　が漏れていたから、電気消し忘れちゃったのか
　って思って。」

　あぁ。なるほど。
　確かに、そう思うよね。

彩「ごめんね。大丈夫だよ。」

小「なら、良かった。でも、アーヤも早く寝たほ
　うが、良いよ。明日も、若武を世話しなくちゃ
　いけないから。」

　ふふ。確かに、若武はいつも元気だもんね。

　あっ、そうだ。
　アレのこと小塚君に聞いてみようかな。

彩「ねぇ、小塚君。」

小「なあに?」

　ふふ。
　首を傾げたら、持ってるコップも傾きそうで、面白いな。

彩「小塚君は、どうして人は怖いっていう感情を
　持っているのか知ってる?」