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城に着くと、門の所にまふくんがいた。まふくんは私を見てぎょっとした顔をすると、すぐに駆け寄ってきてくれた。
「え、ちょ、A!?なんで泣いてるの、何かあった?」
『うううう、まふくんんん』
「あわわわ、泣かないで。と、とりあえず会議室とか使って話聞く!こっちおいで!」
まふくんは私の手を握ると、騎士団本部まで手を引いて走った。そのまま空いている会議室に二人で入ると、イスに座らせてくれた。
「何があったのか話せる?」
イスに座る私に目線を合わせるようにしゃがんでくれる。私はうらたさんとの事を素直に話した。するとまふくんは微妙そうな顔をして、頭を掻く。
「あー、うらたさんやらかしてるなぁ」ボソッ
『え、なんて?』
「いや、何でもないよ!とにかく、うらたさんが最近冷たいと」
『うん。私の事、飽きちゃったのかなって……』
そう言葉にするとまた悲しくなって、涙が滲んでくる。まふくんはそんな私の頭を優しく撫でてくれた。彼の方を向くと、柔らかい笑顔で私に言ってくれた。
「あのね、A。うらたさんは多分、言葉に出来ないくらいAの事が好きなんだよ」
『そ、そうかな……』
「うん。不安だろうけど、大丈夫だよ」
まだ心にチクチクしたものは残っていたが、多少は楽になった。まふくんにありがとうと感謝の意を伝えると、落ち着いたら任務来てね、と言って会議室を出て行った。
まふまふが会議室の外に出ると、ちょうど浦島坂田船で集まって談笑していた。まふまふはそこに歩み寄り、うらたの肩を少し強めに掴むと、ぐいっと耳元に顔を寄せ囁いた。
「ぼーっとしてると、A、盗っちゃいますよ」
そう言ってその場を去る。うらたは酷く焦った表情で去るまふまふの背中を見つめていた。
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四つ葉 - 完結お疲れ様です!後からすみません。楽しく読ませて頂きました!他の作品も頑張って下さい!ヾ(≧∪≦*)ノ〃 (2020年4月20日 3時) (レス) id: e93bba0f4a (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - いえいえ!こちらこそなんかすみません! (2019年8月10日 18時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - すみませんww参考になりましたww (2019年8月9日 21時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - 忘れてたの!?確かに結婚した後みたいな雰囲気ありましたけどw (2019年8月8日 14時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
神谷朱里(プロフ) - 名無し1450号さん» リクエストありがとうございます!書かせていただきます! (2019年8月7日 18時) (レス) id: 53f80ab33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱里 | 作成日時:2019年6月15日 14時