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「⋯⋯⋯⋯ッ、できましたが」
「息上がってるけど??
はーもう、そんな体力使うくらいなら素直に俺に頼んどけば良いのにさ。ほら早く探し物、探そう」
「⋯戻らないんですか」
「さっきも聞いたなあ、そのセリフ!
⋯戻るのにもまたここ開けなきゃいけないし、重くてイヤだからちょっと休憩するだけ」
「⋯⋯そうですか」
どういう理屈なのか全くわからなかったけれど、これ以上及川さんを拒んだらそろそろ取り返しのつかないことになりそうだ。
諦めて頼まれたテーピングを探しにかかる。
それは比較的すぐに見つかった。
棚の隅、隠れるようにあったテーピングケースに手を伸ばし、棚に潜り込んで奥から引きずり出す。
「そんな奥にあったの?
随分と慎重にしまい込んだんだねえ」
「ごほっ⋯⋯知りませんよ」
増したホコリの気配に咳き込みながらケースを手にしたとき、指に鈍い痛みが走る。
「いッ⋯⋯」
指が熱くなるような感覚に、血が出たのがわかった。
「⋯?」
「Aちゃん? どうかし⋯─────
─────危ないッッ!!!」
普段なら滅多に聞くことのない及川さんの激しい声。
かと思えば、体を引かれる感覚と、全身を締め付けられる感覚。
耳をつんざく大きな音。衝撃。
気づけば私は及川さんの胸に抱え込まれるようにして床に倒れていて、
「ぐッ⋯⋯クソ⋯」
苦痛の滲む声が頭上から聞こえ、我に返った。
「⋯⋯お、いかわ、さ⋯」
潰れたダンボールと、散らばる器具。
その下敷きにされているのは、及川さんの────足。
「ぁ⋯⋯⋯ッ!」
─────黒魔女だ!
幼き日に聞いた声が、またも浴びせられた気がした。
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ne*(プロフ) - 大丈夫ですか?無理しないで下さいね。 (2022年9月2日 9時) (レス) id: d0690099e0 (このIDを非表示/違反報告)
すみんみん - 続きがめちゃめちゃ気になります!頑張ってください! (2022年8月12日 17時) (レス) @page27 id: ebcea48cb7 (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん - 大丈夫ですか?体調崩されたのでしょうか。お大事になさってください (2022年8月10日 9時) (レス) id: 83697b1c32 (このIDを非表示/違反報告)
雷 - 僕も続きが気になりますでもこんなにたくさん小説を書いていると疲れるので休みながらでもいいので頑張ってください (2022年8月9日 19時) (レス) @page27 id: 25670c47bc (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 続きが気になりまくりです!更新頑張ってください! (2022年8月9日 12時) (レス) @page27 id: 3764804c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:湧緋 | 作成日時:2022年7月24日 0時