番外編「お医者さん」 ページ10
＊雪が土方に刀を振り下ろされた直後＊
貴方:カタカタ…[震えている]
斎藤:雪、そこまで怯える必要は無い。山崎君は医者では無いが、医術の心得がある者だ。きちんと見て、手当をしてもらえ。
貴方:う……ん……
斎藤:山崎君、俺は夜の巡察がある故行かねばならぬ。…すまぬが、雪のことをよろしく頼む。
山崎:分かりました。お気をつけて
斎藤:雪、戻ったらすぐ迎えに行くからな
そう言って雪の頭を優しく撫でた斎藤は医務室から出て行った。山崎は手当の準備をしていた。カチャカチャとなる音は闇夜と絡み合い、幼い子供の不安を煽るのに充分だった。
貴方:うぅ……
山崎:…大丈夫ですよ。ここには怖いものはありませんから、落ち着いて下さい。
貴方:ちが…う…。…見せるの…嫌…
山崎:ですが、見せてもらえなければ手当は出来ません。俺は貴方の傷の具合を見て、手当をすると言う義務があります。
貴方:大丈夫…すぐ…治る…
山崎:体に傷跡が残ってしまっては大変だろう？大丈夫だ。ゆっくり深呼吸して…
暫く山崎の言う通りにしていると、雪の体の震えはいつの間にか止まっていた。顔つきも先程より落ち着いて見えた。
山崎:では、改めて手当をしよう。まずは腕から、見せてくれるか？
貴方:…コクッ…
雪が頷いたのを確認し、山崎は着物を捲り上げ傷の具合を確認する。そこには、土方から聞かされていた通り、青あざがびっしりと刻まれていた。
山崎:これは…
貴方:汚い…ですよね…
山崎:え？
貴方:こんな…痣…ばっかりな人…他にいないから…。汚い…から…嫌…ですよ…ね…
掠れた声でそう呟いた彼女に対して、山崎は手当の手を止め、彼女の手を両の手で包み込むように強く握り、そのまま告げた。
山崎:汚いのは君では無い、君の両親だ。君は決して汚い存在では無い。だから、そんなこと言わないでくれ。
貴方:でも…
山崎:もし君がその痣のせいでそう思ってしまうなら、俺がその痣を全て消そう。だから安心して欲しい。
貴方:…出来るの…？
山崎:あぁ。ちゃんと手当さえすればきちんと治る。大丈夫…大丈夫だ…。
貴方:山崎…さん…。うん…ありがとう…
山崎:いえ…。では、残りの箇所も手早く済ませてしまいましょうか。
そう言って山崎は彼女の手当を再開した。雪にとって、優しい手つきで包帯を巻いたりする山崎との関わりは、この日から始まったのだった。
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幻想少女 - 感動しました！！雪ちゃん幸せで私もうれしかったと心から思いました！！更新など色々お疲れさまです、これからも頑張って下さい、応援しています＾＾ (2016年5月7日 13時) (
レス) id: 485d3ca50b (このIDを非表示/違反報告)
かなりん♪(プロフ) - とても感動しました！何度号泣したことか…… 初めは名前を入れて読んでましたが、やっぱり雪の方がよかったので雪のまま始めから読み直しました！一くんと再会できて良かったと思います！ (2015年10月11日 14時) (レス) id: 033450cac6 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - おはようございます〜♪楽しみにしてます。♪ (2015年2月2日 8時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
風花 氷雪(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» そんなこと無いですよ汗 最後焦り過ぎた感じがありますが…。ここまでありがとうございました！これからも読んで頂けたら嬉しいです(*^^*) (2015年2月1日 21時) (レス) id: a823bf8299 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - わ〜なんだか凄いですね。 (2015年1月31日 16時) (レス) id: eede5b9ca7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風花 氷雪 | 作成日時：2015年1月25日 16時
