【薄桜鬼】私立薄桜保育園へようこそ！

1人で待てるもん ページ13

千鶴:せんせ、たねー！

薫:またあした…

貴方:千鶴ちゃん、薫君、さようなら。またね〜。ニコ

雪村:ありがとうございました。では、失礼します。


保育園は普通、午後5時までが保育時間となっています。まぁでも、このご時世5時までに迎えに来るご両親の方が少なくて…。延長保育として預かっている。遅いと8時くらいになるご両親もいるんだよね…。


土方:……


今さっき千鶴ちゃんと薫君のお迎えが来て、薄桜保育園に残ってる園児はトシ君だけ。トシ君のご両親は共働きで、朝は早くて迎えは遅いのが当たり前になっています。

上に大きいお兄さんとお姉さんがいるから大変なのだろうけど…。口では言わないけど、トシ君はきっと寂しいと思うんです…。


永倉:トシ君！俺と遊ぼうぜ！

土方:いい。いま、さんすうしてる

永倉:なら俺が教えてやるぞ〜！

土方:1人でできる、へいき

永倉:そ、そっか…。わりぃな


永倉先生が私にごめんと手を合わせる。私は首を振って大丈夫と伝えた。永倉先生には明日の準備に行ってもらい、私は1人で今日の算数でやった足し算と引き算の問題を解いているトシ君を見た。

本当は一緒にいてあげたいけど、今は側にいるべきじゃないと思う。[永倉先生の二の舞になると思うから…] 同じ部屋にいるけれど敢えてトシ君には話かけず、私は今日皆が散らかした[片付けてはいるのだけど]本やぬいぐるみを元の場所に戻していく。

…気がつけば、時計の短い針は8を指していた。流石に遅いんじゃ…。そう顔に出てしまっていたのか、くいくいっと、お決まりの仕草をトシ君はしてきた。


土方:きょうは、にいちゃんじゅくだからおそいんだ。たぶん、もーすぐくるから。きにすんな。

貴方:そっか…。お兄ちゃん塾通ってるんだ。

土方:うん。にいちゃんあたまいーから。おれも、にいちゃんみたいにべんきょうたくさんするってきめてんだ。

貴方:そう…。


トシ君は桜組の中で唯一のお受験生なんです。だから、お母さんの帰りを待ってる時はいつも1人でお勉強。勿論、総司君や一君達がいる間は面倒を見てくれるんですけれど。


貴方:本当に優しいね…トシ君…

土方:せんせ？なにいって…


気がついたら、私はちょっとだけ泣きそうになってしまった。本当は、泣きたいぐらい寂しいのはトシ君の筈なのに…。何してるんだろ、私…。


貴方:ご、ごめんね。なんでも無いよ。ニコ。

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