〇 ページ21
(夏目side)
日が暮れテ、夜の帳が降り出した頃、
魔物を統べる王、零兄さんは書庫に現れタ。
零「逆先くんや、Aがすまんかったの」
僕の隣ですやすやと眠るアズさんの姿を見て
愛おしそうに深紅の瞳を細めル。
夏目「やァ、零兄サン。お疲れサマ。」
零「有難う。Aが世話になったのう。」
夏目「フフ、世話になっただなんテ、むしろお礼を
言わなきゃいけないのはボクの方かもヨ」
零「ふむ、」
夏目「彼女は色んな国の冒険譚を話してくれたんダ、
どれも耳を疑う様な話ばかりデ楽しかったヨ」
彼女とは有意義な時間が過ごせたんダ。
色んな事を知っていて、色んな話の引き出しを
持っていたから、アズさんが疲れて眠ってしまうまで
話が尽きることは無かっタ。
夏目「まるでアズさんは魔女みたいダ。」
師匠みたいにマジックかできる訳でもないシ、
僕の様に魔法使いの一族な訳でも無イ。
それなのにどこか不思議な吸い込まれそうな魅力を
持っていル、そんな人ダ。
零「魔法使いのお主にそうも言わせるとは
Aも隅に置けぬ奴じゃの」
夏目「あの零兄サンを骨抜きにしてしまウ人なんダ、
そもそも普通の人じゃないヨ」
零「それもそうじゃ。我輩も骨を折っておったわい。」
夏目「長年の恋が叶っテ良かったネ、零兄サン」
零「ああ。」
そんな話をしているト、モゾモゾとアズさんが
体を動かしてん、と寝息を零した。
零「これ、A、いい加減起きぬか、」
『んん、、?零くん?』
零「ああ、迎えに来たぞい」
零「それより逆先君に先ず礼を言うんじゃぞ」
『逆先くん?、、、』
夏目「やァ、目覚めはいかが?アズさん」
『、、、、、。もしかしてずっと私が寝てる間
ここにいてくれたりした??』
夏目「ウン。」
『ほんとにごめん!逆先くん!ごめんね?君の
大切な時間を奪っちゃって、、。
そのまま放置してくれても良かったのに、』
しゅん、と本当に申し訳なさそうな顔で平謝り
してくるアズさん。
夏目「放置なんてできる訳無いでショ、」
『本当にありがとう。君は優しいんだね。』
ふわっと笑う彼女を何故か直視できなくて目を逸らす。
『お礼と言ってはなんだけどこれ、君にあげる。
君を見て降りてきたインスピレーションで作った
曲だよ。』
夏目「音楽家は曲を人に贈るのが本当に好きダヨ、
ありがたくいただくネ、」
夏目「Goodnight。零兄サン、アズさん。」
幸せな魔法をかけて2人に別れを告げた。
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作者名:Chloe | 作成日時:2022年9月25日 23時