第61話 ページ24
羽風「…」
羽風薫が立ち上がって、私の頬に手を当てた。
涙を拭っていた手を相手が掴む。
視線を上にあげると、彼の顔がもうすぐそこにあって…。
理解が追いつく前に、私の唇には、熱くて柔らかい感触があった。
唇が離れて、彼の顔が横に逸れる。ペロリと熱い舌が、私の頬を舐めた。
羽風「…しょっぱい」
貴「あたっ、当たり前です!バカ!!」
羽風薫の胸板を全力で押した。
相手はバランスを崩してひっくり返る。キャスター付きの椅子が、衝撃で転がった。
朔間「初々しいのう…♪」
貴「あぁもう。やっぱり、心配なんてするんじゃなかった」
羽風「あはは。ごめんごめん♪」
貴「……でももう、一人で解決しようなんて思わないでくださいね」
羽風「それは」
貴「解決するまで私に会わないつもりだったんでしょ?迷惑かけちゃうとか、そんなことで」
羽風「えっ」
羽風薫は朔間先輩を見た。朔間先輩は、知らん顔して笑っている。
貴「…迷惑、かけてください。大好きな人を助けるための迷惑なら、困難なら、どんなものも乗り越えてみせますから」
羽風「A、ちゃん」
貴「信じてますよ。薫先輩」
羽風薫の瞳が揺れた。
滴の欠片が、ぱっと光って、散って消えた。
羽風「ありがと」
久しぶりに見た、彼の微笑んだ表情に、私が見ていた景色が、彼の色に煌めいた。
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顥(プロフ) - 千代さん» ありがとうございます。まだまだ未熟者なので、流石に人気は出ないですね…。もっと精進しなければ。これからも素晴らしい作品だと言ってもらえるように、努力しながら、更新頑張っていきます! (2018年3月12日 22時) (レス) id: 09070ac26a (このIDを非表示/違反報告)
千代(プロフ) - そう言いたいほど大変素晴らしい作品です。私自身、放送部の部長をしていて楽しめましたし、なにより内容が素晴らしい。羽風好きになりそうですなんかもう…有難うございます(←)これからも読ませて頂きます。更新頑張ってください! (2018年3月12日 0時) (レス) id: b14c7e5392 (このIDを非表示/違反報告)
千代(プロフ) - 初めまして。昨日この作品を見つけて読ませて頂きました。文が拙いし、長くなりますが感想を言いたいです。”なぜ人気でないんだ”。 (2018年3月12日 0時) (レス) id: b14c7e5392 (このIDを非表示/違反報告)
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