第80話 ページ42
ノックするのが、少し、躊躇われる。
軽音部兼、UNDEADの会議室…やはりここの雰囲気は、いつだって慣れない。
勇気を出して扉を叩こうとした時、後ろから『おい』と声をかけられ、反射的に肘鉄。
完璧に入ったであろう。くぐもった声でしゃがんだ人物を見る。そこには、ギターケースを背負った大神がいた。
ごめん！？と、謝りながら彼の背中に手を当てる。ゼェハァと呼吸しながら、大神は恨みを込めた目でこちらを見る。
乙狩も後から来て、状況を見ると首を傾げ何も触れずに、私に部室に入れと促してくれた。逃げるようにして入る。
大神は久世！！と叫びながら、私達の後を追うように入った。
朔間｢おや。さっきぶりじゃな…♪｣
羽風｢やっほう、Aちゃん｣
口調はいつも通りだが、
貴｢さっきはありがとうございました。大変、ご迷惑をおかけして…｣
朔間｢良い良い。お主もよく耐えたのう｣
頭を撫でられ俯く。すぐに顔を上げ、もう大丈夫です。と、満面の笑みを浮かべてみせる。
羽風｢本当に辛くなったら言うんだよ？｣
貴｢それ、何回も聞きました｣
するりと朔間先輩の手から抜け、風を注ぐ窓の前に立つ。
本当に大丈夫だ。
貴｢見つけましたから｣
羽風｢見つけた…？｣
貴｢はい｣
振り返った途端、大きく風が吹いて、カーテンを揺らし、髪が
貴｢私が今、伝えたいこと｣
羽風｢…っ｣
ホコリが光に当てられ、星屑のように煌めいた。
羽風(綺麗、だ)
君の見ている世界に、今の私は、どんなふうに映っていますか？
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作者名：�� | 作成日時：2017年10月28日 21時
