第55話 ページ16
最終決戦。
予想していた通り、赤司は火神に吹っ飛ばされて、１度、調子を崩した。
だがそこから立ち上がった彼の目に、もう曇はない。
サバの大好きだった彼の姿があった。
センスの塊と言っていい。全員の潜在能力を引き出す
誰もが負けたと、思ったその瞬間だった。
ほんと、呼んでおいて良かった。
黒子の戦友、荻原シゲヒロの叫びが会場中に広まり、笑顔でバスケットボールを顔の横で見せる。
嬉しそうに笑った黒子の瞳にはキラリと光る何かが流れた。
シゲの声で私も立ち上がり、誠凛の名前を叫ぶ。そして青峰も立ち上がって、叫んだ。
その声に導かれ、みんなが声を上げる。冷めきった会場は、さらに熱を増した。
観戦の中、振り向いた青峰と目が合う。
そうだよ。
私たちは今、同じ舞台にいるんだよ。
やっと約束を守れたんだ。
果たせなかった約束を、守れたんだ。
その時、私の中で変化が起こった。
試合をしていないのに集中モードに入り、意識が海の底へと沈んでいく感覚。
第一の扉を開けた先、そしてまた海の底。
勇気を振り絞って、落ちる。やっと底につくと、大きな扉がまたあるんだ。
そうだ、青峰はこの先へ足を踏み入れたことはない。いや、できない。
なぜなら、捨ててしまったからだ。
ずっとこの、最後の扉に立っていたのは…。
他でもない、誰よりも君とバスケをやってきた、
キセキの世代から忘れられたこの気持ちを、新たに襲いかかってくる虎は知っている。
だからこそ、その扉を開けることが出来たんだ。
第2のゾーンに。
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作者名：�� | 作成日時：2017年10月9日 0時
