第84話 ページ7
貴｢…｣
あたしが闘う理由…。
月永の真っ直ぐな目が眩しくて思わず逸らした。小さく息を吐いて、月永の胸元を押す。
貴｢今は、言わない。文化祭が終わって、時間が空いた時に、ゆっくり話せる時に、話す｣
今度は、しっかりと見つめ返す。
貴｢だから、待ってて｣
これは、みんなに言ったことだ。間があった後、月永は分かったと優しく笑って頷いた。他のみんなもその表情は穏やかだ。
でもまぁ…。
文化祭が終わった時に、時間があればいいんだけどね。
その後はいつも通りに練習に入り、ライブの完成は近づいてくる。
形は完璧を作り衣装も出来上がる。あんずちゃんを抱きしめて瀬名と一緒にツーショット。見ていた朱桜が割り込み、鳴上と朔間弟、月永も入った。
あんずちゃんが撮ってくれると、あたしのスマホで衣装完成の写真撮影。
画面に映るあたしたちの笑顔は、ピッカピカに輝いていた。
蓮｢ありがとう｣
鬼龍｢構わねぇよ｣
夢ノ咲の校門前。LEONも完成された衣装を代表で蓮が受け取っていた。同行者の榊は呑気に猫と遊んでいる。
蓮｢いい勝負にしましょうね｣
鬼龍｢あぁ｣
行くわよ。と蓮は榊の尻を蹴る。痛みに飛び上がった榊は蹴られたところを擦りながら蓮の後ろを歩き出した。
去る二人の背中に鬼龍が叫ぶ。
鬼龍｢お前ら、本当に大丈夫なのか｣
蓮は足を止め、振り返った。
蓮｢当たり前のことを聞かないでちょうだい。やるからには勝つわ。みんな、本気だもの｣
自信満々に力強く笑った蓮を見て榊も笑った。気味悪がった蓮は榊を睨む。大きな手で蓮の頭をポンポンと叩いた彼に、蓮が拗ねて先を歩き出した。
本番で会いましょうね。と、残して。
仲睦まじい二人の姿を見た鬼龍も、口角を上げて息を一つ吐き出したらレッスンへと戻った。
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作者名：�� | 作成日時：2017年7月25日 10時
