あんスタ【もう1人の転校生】9 (ページ17)

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第94話ページ17

守沢からの連絡を受け、あたしたちは保健室へと急ぐ。扉を開け、佐賀美ちゃんに様態を聞くと、疲労で少し寝不足気味だったらしい。後は、守沢から諸々の事情を聞いた。

鳴上｢こういう奴は減らないわねぇ…それにしても、なんでこの子ばっかり狙われるのかしら…｣

寝ている彼女に寄り添った鳴上は青井の頭をそっとなでた。寝ているはずなのに、その身体はフルリと震える。

気づいた鳴上はその手を離した。大丈夫だよと、鳴上の手の上から自分の手を握り再び眠る姫の頭に手を当てる。

貴｢そのまま撫でてあげて。鳴上は女心がわかるお姉ちゃんだからきっと青井も怖がらないからさ｣

分かったわと頷いた鳴上に青井を任せ、あたしはポケットから取り出したスマホの画面を見せた。映っているのは、とある雑誌の一部だ。

瀬名｢これって｣

朱桜｢まさか…｣

凛月｢青井蒼藍って｣

月永｢小さい頃に、売られてたって、こと、か？｣

青井の母親は病気で死んだ。父親は借金に終われ、青井を売った。

あたしは、重い過去を話した。勝手に。ごめんね、青井。

貴｢色々、酷いこと受けたらしいよ。主に性的暴行だけど。赤井と青井って、似てるでしょ？なんでだと思う？｣

答えは簡単。

貴｢赤井も青井と同じような道辿ってきてんのよ。顔が似たのは偶然だったけど、その他はそっくりそのまま同じ人生歩んでたんだってさ｣

それを聞いた時は驚いた。哀しみではなく、怒りが昇ってきた。フツフツと湧き上がる憤怒に、誰も行き場のない怒りをいつも抱いていた。

貴｢月永が前に言っていた質問。守るものは消えたって、それは違う。今も守るものはある｣

そう言って、寝ている彼女の髪を撫でる。

貴｢闘ってるのは、あたしじゃなくてコイツらだよ。復讐とかじゃない。きっと、もっと、大切なもののためにアイドルになったんだよ｣

青井の瞳から、一筋の雫が零れかけた。

貴｢あたしはこいつらの夢を支えてやんなきゃいけない。だから、その夢を邪魔する奴らは許さない｣

怒りの感情は、未だ燃え上がる。